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セ・リーグ6球団 最終盤のカギを握る一番打者事情は?

 

打線に勢いをつける役割を存在である一番打者。文字どおり、リードオフマンが先頭に立って引っ張っていけるチームは強い。シーズンも再終盤に差し掛かりつつあるが、セ6球団の一番打者事情を見ていこう(記録は8月26日現在)。

読売ジャイアンツ



 二番に坂本勇人、三番に丸佳浩を置き、四番・岡本和真へとつなげる超攻撃的な「初回に2点以上を取るための打順」について、その成否のカギを握るのは一番と五番であることを戦前、原辰徳監督は明かしている。開幕は吉川尚輝が務めて4割に迫る打率で打線をけん引したが、腰痛のためにわずか11試合の出場で離脱。直後は坂本勇が打順を繰り上げ、山本泰寛なども担ったが、最終的には亀井善行に落ち着いた。37歳のベテランだが、3割の打率をキープし、7本塁打と長打力もあり、はまり役に。年齢を考慮し、欠場の際は若林晃弘が務めるが、首位快走の功労者の1人であり、V奪回へ向けた9月戦線もキーマンである。

横浜DeNAベイスターズ



 上位を争うだけの得点力が不足するDeNA。原因の一つが固定できない「一番」にある。開幕戦は梶谷隆幸が任されるも、3戦目には楠本泰史、6戦目からは神里和毅が座った。成長著しい2年目の神里は一時、打率ランキングで首位打者に肉薄するほど好調ぶりだったが、夏場に入って息切れ。シーズン中盤以降は大和乙坂智中井大介らが日替わりで起用されることが多い。8月23日の巨人戦(東京ドーム)からは二軍から梶谷が再昇格し、火付け役として打線をけん引する。

広島カープ



 ここ数年間、ずっと一番打者に固定されてきた田中広輔がまさかの不調、シーズン序盤から下位打順に回る形になった広島は、前半戦、一番打者に苦しんだ。5月ごろまでは、代わりに一番に入った野間峻祥がまずまず好調をキープしていたが、6月に入ると不調に陥り、また一番が定まらない形となった。それを救ったのが、西川龍馬だ。今季は年間通して好調を維持、五番、三番、さらには一番と、常に打線の中で不安定になったポジションに配置されて、チームの危機を救ってきた。あまり四球を取るタイプではないが、逆に、積極的な打撃と俊足が一番にハマり、後半戦は定着。なかなか全体が固まらないカープ打線にあって、貴重な得点源になっている。

阪神タイガース



 ルーキーながら開幕戦でスタメン起用され、「二番・中堅」でスタートした近本光司。自慢の足を生かし4月途中から一番に座り、それ以降は定着している。今や阪神の一番と言えば、誰もが「近本」と即座に答えるほどの活躍を見せている。その近本の代名詞は「盗塁」だ。現在、リーグ3位の25盗塁を記録し、1位の中日大島洋平と3個差と1年目からの盗塁王を狙っている。また、積極的な打撃も魅力で、オールスター第2戦でサイクルヒットを放ち現在、年間安打130本まで伸ばし、球団新人安打記録の136安打も見えてきた。目指すは目標の「盗塁王&新人王」。そこに向け、残り試合を全力で走っていく。

中日ドラゴンズ


中日・平田良介


 現在は右手首の故障で登録抹消中だが、平田良介が67試合とチームで最も多くこの打順を担った。平田は脚力と長打力を併せ持った右打者で、昨季まで一番を打つことが多かった巧打者タイプの大島洋平が、わずか7試合かつ三番をメーン(73試合)にするところからも、与田剛監督の好みがうかがい知れる。大島の一番は平田離脱中の直近の試合で増えたもので、平田に次ぐのは京田陽太の11試合、井領雅貴の10試合。特に井領は一番で打率.366と結果を残していた。とはいえ、同.310、7本塁打の平田の離脱は痛い。CS出場に望みをかける9月の戦いに向けて、早期復帰が待たれる。

東京ヤクルトスワローズ



 昨季、不動の一番打者として161安打をたたき出した坂口智隆だったが、今季は開幕3戦目に死球を受けて左手首を骨折。いきなり主役不在の危機に陥ったチームは、その後も適任者が見つからず、これも最下位低迷の要因となった。今季、最も多く一番に座っているのは日本ハムから移籍してきた太田賢吾で42試合。一番での打率は3割超えとまずまずだが、太田自身も5月末から約2カ月の故障離脱があり、フル回転とはいかなかった。打線がつながらず、本来は三番の山田哲人を一番で起用することもあったが、起爆剤とはならず。故障の癒えた坂口は二軍調整中だが本調子に戻っておらず、苦境が続いている。

写真=BBM
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