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佐々木朗希の登板でスカウトが確認したかったポイントとは?

 

大舞台でも実力を発揮した大船渡高・佐々木朗希。大学日本代表との壮行試合で、高校日本代表の先発を任され、1回無失点に抑えた


 2万8436人の大観衆が固唾をのんで見守った。大船渡高の163キロ右腕・佐々木朗希(3年)が大学日本代表との壮行試合で、高校日本代表の先発を任された。

 なぜ、佐々木朗希が起用されたのか?

 高校日本代表チームを率いる永田裕治監督の粋な計らいがあった。

「こういう大観衆でほうってみることが、これからの大会(8月30日に韓国・機張でU-18W杯が開幕)、将来的にも役立つ」

 1回裏の攻撃を三者凡退に抑えた。一番・宇草孔基(法大4年・常総学院高)の初球、152キロを詰まらせて左飛。二番・小川龍成(国学院大3年・前橋育英高)は落差の大きいフォークで空振り三振。そして、日米大学選手権で首位打者を獲得した慶大・柳町達(4年・慶應義塾高)は152キロのストレートで空振り三振に斬った。この日の最速は小川の打席で空振りを奪った156キロだった。

 堂々の立ち上がりである。

 佐々木は高校3年間で、甲子園の土を踏んでいない。今夏は岩手大会で決勝進出(対花巻東高)も同校・國保陽平監督の「故障防止」との理由から登板機会がなく、チームも敗退している。佐々木のポテンシャルの高さは、誰もが認めるところ。唯一、足りなかったのが大舞台での「経験値」。大観衆の中でも、本来の実力が発揮できるのか――。この日の登板は、その「テスト登板」でもあったのだ。

 すでにドラフト1位指名を表明している日本ハム・大渕隆スカウト部長は「この環境で、3人で抑えた。それで十分」と語った。そして「そこは一つ、確認すべきポイントだった」と、安心した様子であった。

 佐々木は試合後に言った。

「監督ともそういう話をしてきた中で、(1イニングを)投げられたことはよかった。いろいろな『思い』で送り込んでくれたので、(3人で)投げ切れたことはよかった。1球1球に対する大歓声、声援があって力になりました」

 この日、緊張感はあったものの総合的には「楽しめた」というメンタルの強さ。懸念材料であった大舞台でも力を発揮できることが証明されたのは、大きな意義があった。佐々木の12球は、2019年のスカウト戦線を、大きく動かしたと言える。

文=岡本朋祐 写真=高原由佳
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