大阪・履正社高の初優勝で幕を閉じた今年の夏の甲子園。今大会も多くのヒーローが飛び出した。今週号の週刊ベースボールでは「49代表校全882選手写真名鑑」が中綴じ付録となっているが、ここでは印象に残った夏の主役を振り返っていこう。 令和元年夏の“主役”であることを自ら自覚しているようだった。「高校生BIG4」。大船渡・
佐々木朗希、横浜・
及川雅貴、創志学園・
西純矢がいずれも夏の甲子園出場を逃す中でただ一人、星稜・奥川恭伸は大舞台で“責任”を果たした。2年春から4季連続甲子園出場を遂げ、最後の夏は準優勝となったが、すべての力を出し切った。
石川大会3回戦(対金沢大付)では158キロを計測したが、こちらは誤作動だという。今夏は正真正銘の自己最速154キロをマークし、130キロ台中盤から後半のスライダーに、140キロ台のフォークと、高校生での攻略は難しい域に達していた。
記憶に残る快投を見せたのが智弁和歌山との3回戦だ。初回からエンジン全開で途中、右ふくらはぎがつるアクシデントがありながらも、マウンドを譲らない。1対1で延長に入り、13回からは今大会初のタイブレーク(無死一、二塁からの継続打順)。ここでも得点を許さず165球、23奪三振で14回裏のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。結局、10回以降はヒットを許さず、散発3安打と圧倒している。
昨年9月には2年生で唯一、高校日本代表としてU-18アジア選手権(宮崎)でプレー。1学年上の大阪桐蔭・
根尾昂(
中日)とは同部屋で、野球選手としての高い意識レベル、金足農・
吉田輝星(
日本ハム)からもマウンドさばきなどを学んだ。甲子園での戦いを終え、次なる目標は悲願の「世界一」。2年連続での代表入りを果たし、キャリアNo.1の主役として、日の丸をけん引していく覚悟だ。
10月17日には運命のドラフトが控えるが、スカウト戦線においても“主役”の座を手にしそうだ。あるNPBスカウトは「松坂(大輔=横浜高)、ダルビッシュ(有=東北高)、マー君(
田中将大=駒大苫小牧高)クラスと完成度は一緒」と絶賛。大船渡・佐々木、明大・
森下暢仁の3人は「1位競合が確実」と言われている。
写真=BBM