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木製バット使用時の外野守備の注意点は?/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は外野守備編。回答者は現役時代にゴールデン・グラブ賞を3回獲得した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.今夏で101回を迎えた夏の甲子園では、ピッチャーの球数制限について議論が交わされました。私は単純に金属バットをやめ、木製バットを使用すればいいと思うのですが(海外ではそうですよね?)、その場合、内・外野の守備力が勝敗を分けるような気がします。木製バット使用時の外野守備の注意点はどのようなところにあるのでしょうか。(新潟県・39歳)



A.臨機応変な判断という部分でも鍛えられるかもしれません


イラスト=横山英史


 面白い発想で、金属バットを使用しないことでピッチャーが有利になり、結果、球数が減っていくという考えですが、1つのアイデアとして良いと思います。ただ、木製バットの資源の問題があるとともに(折れやすいですし、木製バットも安くはありませんから、金銭的な問題もありそうです)、球児を故障から守ることが第1の目的ですので、何か1つで解決できるものではなく、球数、日程、もっと言えば、小学生年代からのケアと、総合的に考える必要があるのではないでしょうか。私が大学生のころ、木製と飛距離の変わらない金属バットというものがあったように記憶しています。今の技術ならもっと良いものが作れそうですが……。

 話が逸れましたが、仮に木製バットとなった場合、それ以前の金属バット使用時と比較して、単純に打球が飛ばなくなると思います。ホームランの数も最初は激減するでしょう。ある程度の時間がたてば、それに対応してくるとは思いますが、U-18の国際大会(木製バットを使用)などを見ても、高校日本代表の選手たちでさえも試行錯誤していますから、金属バット並みに飛ばし、ガンガン打てるようにはならないと思います。

 当然、打球の強さも弱まりますから、こういった打球への反応や、処理、捕ってからのスローイングなどが強化され、内野手の守備力も上がっていくのではないでしょうか(金属バットの速い打球に対応しているのもすごいことですが)。

 外野の守備も同じです。金属バット使用時とは異なり、前の打球が多くなることが予想できます。あらかじめポジションを前目にとったり、その意識を高めておく必要が生じ、内野と外野の間の打球を落とされないことを考えていくのではないでしょうか。とはいえ、力のあるバッターで芯を食えば飛距離は出ますから、後ろの打球処理もこなせなければいけません。総合的に考えると臨機応変な判断という部分でも鍛えられるかもしれませんね。

 ところで、球数制限ももちろんですが、私は日程面での改善が必要ではないかと思います。今夏の甲子園では3日連続で試合がないように日程が組まれたと聞きます。当然必要なことだと思いますが、2連戦でもきつい。私が在籍したような、強豪私立ではない県立(公立)高校だと、ピッチャーも少ないですからね。

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

写真=BBM
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