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【MLB】赤鬼マニエルは残りわずか43試合で低迷打線を変えられるか?

 

6年ぶりにフィリーズの現場に打撃コーチとして復帰したマニエル。今回は名打撃コーチとして残り試合が少ない中で、その手腕を発揮していくこととなる


 現地時間8月14日、フィラデルフィアのシチズンズ・ボールパークに「赤鬼」チャーリー・マニエルが帰ってきた。75歳。2013年8月フィリーズの監督を解任されたが、6年ぶりにまたユニフォームを着て打撃コーチとして戻った。

「新しいチャレンジに興奮している。今まで、こういう機会に怖気づいたことはない。何より打撃のことだからね」。シーズン残り43試合で呼び出されたのは、フィリーズが61勝58敗の不振(ナ・リーグ東地区3位)で、とりわけオフにブライス・ハーパー、J.T.リアルムートらを補強、前評判が高かった打線が機能しないからだ。

 マニエルは監督解雇後も、同球団のフロントアドバイザーとして雇われ、時にマイナー選手に打撃を教えるなどしていた。とはいえ、この短期間で何ができるのか。「ほんのちょっとうちの打者の打撃が安定してくれれば、チームの得点は増える。才能ある打者たちの存在も背中を押した」と明かす。

 マニエルはかつてインディアンスの優秀な打撃コーチだった(1998年から89年、94年から99年)。99年シーズンは、1009得点を挙げ、50年のレッドソックス以来の3ケタ得点チームとなった。94、95年はリーグの最多本塁打をマークした。

 しかし近年のMLBはビッグデータを生かし、現場では新しい野球用語が使われるようになり、プレーの仕方そのものも急激に変わった。75歳のお年寄りの出る幕はないのではないか?

「私は選手とコミュニケーションを取るのに苦労したことはない。ロンチアングル(打球角度)のことだって知っている。私の言葉で言うと、バットを離れるときに、ボールのどこと接触しているかということ。言い方が違うだけだよ」という。

 不振のチームをどう立て直すのか?「打撃が安定していないのは確か。ゲームそのものを楽しむとともに、状況に応じた打撃を心がけねばならない。もっと気楽にやったほうが良い。そうすれば打つことはもっと楽しくなる。選手とはどんどん会話の機会を持ちたい」。

 ジム・トーミー、マニー・ラミレスはじめ、多くの名打者がマニエルを師と仰ぎ、父親のように慕った。ハーパーとも良い関係を築けるのか――。その一方で近年のホームランか三振かという打撃アプローチには異を唱えている。

「メジャーだけでなく、マイナーもアマチュアの試合も見ているが、みんながホームランを狙い過ぎ。殿堂に入った打者たちに聞いてみればいい。現役時代ホームランばかり狙ってましたかと。おそらく『NO』と答えるだろう」

 13年8月に解任されたとき、マニエルはまだ監督を続けたかった。そのことを覚えている地元記者が未練はと聞く。「人生の中でそういう仕事ができる時期はもう済んだ。はっきり言っておくが、監督業には興味がない」

 44歳と若いゲーブ・キャプラー監督の下で、部下としてやっていけるのか?「75歳だからね。何があっても怖がったり、心配したりしないよ」。復帰第1戦の14日カブス戦は3回までに10得点と打線が爆発した。果たしてマニエル打撃コーチは打線を立て直し、チームをプレーオフに導けるのだろうか。

文・写真=奥田秀樹
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