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川口和久WEBコラム

もう外様じゃない。巨人の丸は、ど真ん中の大きな丸だ/川口和久WEBコラム

 

どんなときも揺るがない


安定したバッティングを続ける丸



 彼を語らずして今季の巨人を語るなかれ、じゃないかな。

 連敗でマジックが消滅し、DeNAに迫られてはいるが、残り試合を考えれば、巨人の優位に変わりない。

 最大の功労者は広島からFAでやってきた丸佳浩だ。二番・坂本勇人も、三番に丸がいたからこそ可能になった。俺はMVPも丸でいいと思っている。

 彼は人間性もいい。解説の仕事で行くと、こちらの質問に笑顔ではきはき答えてくれるから気持ちいい。名前同様、角が立たない、丸い男だね。

 先週の話になるが、8月30日の阪神戦(甲子園)のバッティングはすごかった。4安打すべてに高い技術を感じたが、特に9回表のホームラン。外角のスライダーだと思うけど、左投手のあの球をセンターバックスリーンに運んだのに驚いた。

 加えて、前にコラムで書いたこともあるが、彼のすごさはなかなか安打が出ない、不振の時期にある。
 バッターには必ず波があるが、その底になったとき、どうしても結果がほしくなり、ボール球を追いかけ、当てにいく。それでさらにスイングが崩れ、スランプが長引く。

 本人に聞いたわけではないが、丸はどんなときもブレない。安打を欲しがらず、四球でもいいと割り切っている。

 要は打てる球を打つタイプだ。三振も少なくないが、いつも自分のポイントまで呼び込んでしっかりスイングしているからでもある。スランプの時期はもちろんあるが、その部分は揺るがない。
 相手投手にとって一番嫌なバッターじゃないかな。

「何を言っているんだ、カープ時代からそうだったよ」という人もいるかもしれないが、置かれている状況が違っても貫いていることがすごい。
 FA移籍1年目、しかも巨人だからね。

 昔ほどじゃないが、巨人は“外様”に厳しい。ファン、マスコミそうだし、OBもね。結果が出ないとあれこれ言われるから、どうしても普段の自分ではいられない。

 俺は巨人に移籍入団した大物選手には二通りあると思っている。
 1つは上昇気流にある選手。前の球団でしっかり結果を出し、さらにこれからという選手だ。丸や昔の小笠原道大杉内俊哉あたりかな。
 彼らは勢いがあるから周囲に嫌な逆風が吹いていても、それを吹き飛ばしてしまう。

 もう一つは下降気流の選手。前の球団で実績を積み上げ、名前もあるけど、成績が下り坂だった選手。彼らは逆風でさらに失速し、とことん落ちてしまう。
 たとえば……俺か。
 いまさら言い訳する気はないが、周りに流されず、自分のやり方を貫いていたら、もう少しマシだったかもしれない。当時はそんな余裕なかったけどね。
 
 球界には「生え抜き」「外様」という言い方があり、生え抜きにはプラス、外様にはマイナスの響きがある。

 俺も巨人では、ずいぶん外様、外様と言われたけど、なんか嫌だった。別に前の球団のことを忖度しながら野球をしていたわけじゃないし、巨人のために戦う気持ちは生え抜きと言われている連中に負けないつもりだったんだけどね。

 だいたい巨人の投手の歴代大物OBと言えば、KさんやBさんだけど、みんな外様でしょ。いろいろな選手がみんなでつくった伝統なのに、そういう差をつけるのはおかしくないかな。

 丸がそうだよね。彼はもう外様でも助っ人でもない。今の巨人のど真ん丸にいて戦っている。まさに日の丸で言えば、真ん中の丸だ。

写真=BBM

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