週刊ベースボールONLINE

社会人野球リポート

都市対抗での屈辱を糧に日本選手権出場を決めたHonda

 

日本選手権関東代表決定戦で勝利したHondaナイン


「勝利に向けて調整してきたのに、初戦が突破できない。何が原因かが分からない」

 都市対抗野球大会の三菱自動車岡崎との初戦を2対5で落としたあと、Hondaの岡野勝俊監督(青学大)は悲痛な面持ちでこう話した。

 優賞候補に挙がる強豪チームではあるものの、2009年の優勝以来、都市対抗で2勝以上していない。

 チームの雰囲気も悪くない。選手個々の能力も高い。それなのに2017年の監督就任後、2018年、2019年と2年連続で都市対抗の初戦で敗退していることに岡野監督は頭を抱えていた。

 結果を残せずに東京ドームから去ってから、チーム、スタッフが一丸となって考える時間を1週間、設けた。そこで見えてきたチームの弱点を解消するために、8月頭には強化練習期間を5日間つくり、野手陣は1日1200〜1300本の素振りを行った。

「今までは配球を気にせず振りにいく選手が多かった。本能で打っていたのを、どんなピッチャーが出てきても、焦らず対応ができる打線を目指して、バッティング練習時から頭を使って考えて打つ練習を重ねました」

 迎えた9月3日の日本選手権関東代表決定戦。明治安田生命との試合では、エース左腕の東野龍二(駒大)が6回表に大東孝輔(立大)に左前打を浴びるまで無安打と好投。打線にも勢いがあり、初回に佐藤竜彦(立大)がレフト方向に二塁打を放つと、そこから順調につないでいき先制点を得ることができた。投打が噛み合い3対1で勝利して見事、日本選手権出場となった。

 結果的に予選を通して14安打と打線は好調。苦しい練習を経て、チームが目標としてきた「打ち勝つ野球」を体現することができた。

 変化したのは打線だけではない。この予選では、相手チームに点が入ってもベンチ内の選手の表情が常に明るかった。これについて岡野監督は、「試合前に『失敗を恐れずに、とにかく盛り上がろう』と声をかけたことが良かったのでは」と分析した。

「やってきたことは間違っていない。選手一人ひとりを見ていても、自信を持ってプレーができているように感じました。日本選手権当日までは、今までやってきたことを継続しつつ、選手は調子を整え、スタッフは選手の状態を試合当日にピークとなるようスケジュール管理をしっかりしていきたい」と初戦突破に向けて熱い思いを語った。

 悲願の日本選手権初戦突破となるか。生まれ変わった強豪チームの戦いから目が離せない。

文・写真=豊島若菜
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング