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U-18W杯戦記

[U-18W杯戦記]高校日本代表が戦う球場の最大の悩みどころとは?

 

U-18W杯で世界と戦う日本代表。現地で取材を行う記者が、その目で見て、肌で感じた熱戦の舞台裏を写真とともにお届けする。

言い訳した時点で負け


メーンスタジアムは天然芝で、今大会で使用される第2、第3球場は人工芝である


 どんな環境でも慌てない。

 これが国際大会を戦う上の鉄則である。U-18ワールドカップ(韓国・機張)に出場している高校日本代表。韓国とのスーパーラウンド第2戦の先発は今大会7試合目にして初登板となる大船渡高・佐々木朗希が務める。

今大会の試合会場である「Gijang-Hyundai Motors Dream Ballpark(キジャン ヒュンダイ ドリームパーク)」は広大であり、すべての試合を同敷地内で行えるメリットがある


 今大会の試合会場である「Gijang-Hyundai Motors Dream Ballpark(キジャン ヒュンダイ ドリームパーク)」は釜山市内から車で約40分の機張郡にある。2016年の女子W杯でこけら落しとなった新しい施設である。

 場内には韓国戦が組まれているメーンスタジアム(両翼98メートル、中堅122メートル)のほかに第2、第3球場に加え、練習で使用する球場と計4面がある。

 メーンのみが内野天然芝であり、第2、第3が人工芝。今大会はオープニングラウンドで雨天に悩まされることが多かったが、人工芝は打球スピードがかなり速くなり、プレーに支障が出ることもあったという。しかし、すべての出場チームが同じ条件であり、ミスの言い訳にすることはできない。

ここが最大の問題点。ブルペンには囲いがなく、ネットで仕切られただけ。メーンスタジアムの三塁側は客席の前に設置されている。日本ではあり得ない形状だ


 この球場の最大の悩みどころは、ブルペンである。

 日本の常識はまったく通用しない。ネットに囲まれただけであり、一般の観衆からも「筒抜け」の形状なのである。前日、カナダとのスーパーラウンド初戦。5回終了と同時に、佐々木朗希が投球練習をスタートさせた。

 この日に限ったことではないが、奥川恭伸(星稜高)らがブルペンに入ると、大変な人だかりになる。通常、後方は壁となっているが、ネットのため、捕手の捕球は難しい。さらに人が立てば、視界はさらに悪くなる。

試合後は場内中央の建物下に設置されたミックスゾーンで取材が行われる


 さらに、投球練習でも、軽く150キロは超えていたであろう佐々木が相手だ。ボールを受ける捕手・水上桂(明石商高)は一向に動こうとしないファンがいたため「すいません。ボールが見えません」と、平川敦コーチを介して移動してもらっていた。

 本来は試合へ向けて集中したいブルペンだが、この球場ではなかなか難しい状況にある。すべての条件を受け入れて戦うのは、国際試合における大前提。言い訳をした時点で負け。覚悟を持って臨まなければ、悲願の世界一を奪取することはできないのだ。

文=岡本朋祐
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