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U-18W杯戦記

[U-18W杯戦記]なぜ、佐々木朗希は再び血マメができたのか

 

U-18W杯で世界と戦う日本代表。現地で取材を行う記者が、その目で見て、肌で感じた熱戦の舞台裏を写真とともにお届けする。

わずか19球の「世界デビュー」


韓国とのスーパーラウンド第2戦、先発した佐々木朗希(大船渡高)は1回(無失点)で降板。血マメが再発したのが影響だった。写真はマウンド上で状況を確認する永田監督(背番号30)と捕手の水上(背番号22)


 韓国とのスーパーラウンド初戦(9月6日)の延長10回、タイブレークの末にサヨナラ負け(4対5)を喫したミックスゾーンで、永田裕治監督は言葉を絞り出した。7日以降の佐々木朗希(大船渡高)の見通しについての質問である。

「難しいと思います」

 8月26日。大学日本代表との壮行試合(神宮)で先発した佐々木だが、試合前から違和感があった中指に血マメができたため、1回(無失点)で降板。その後はノースロー、韓国入り後も慎重に調整を進め、ついに今大会7試合目にして初登板の機会がやってきた。

 しかし、再びアクシデントが襲う。この日も試合前から中指に違和感があったが、周囲には告げずにマウンドに上がった。プレーボール後、ボールに血がついているのを捕手・水上桂が気づいた。二死一塁となったところで永田監督がマウンドへ向かって確認したところ、佐々木から「あと1人、行かせてください!!」との自己申告を受け、次打者を空振り三振に斬っている。無失点でベンチへ戻り、ドクターと医学療法士に様子を報告した上で、降板が決まった。結果的に「令和の怪物」の世界デビューはわずか19球で終えている。

 佐々木によれば、前回よりも症状は軽いというが、なぜ、血マメができたのか検証する。

 その理由は、これに尽きる。日本の大会使用球とは異なる「国際規格」の公認球(SSK社製)で投球したからである。あるNPBスカウトはこう明かす。

「縫い目が高いですから、肌質によってはマメができやすくなるんです。NPBからMLBに移籍した選手も(ボールが変わって)対応に苦慮することをよく聞いたことがあります。ただ、一方で、ボールが指にしっかりかかっている証拠ではないでしょうか」

 高校日本代表関係者によれば、血マメができたのは初めての経験だという。個人差はあるが、完治まで1カ月ほどかかる選手もいるという。血マメの下にさらにマメができると、治りが遅くなるケースもあると言われる。今回は中10日での復帰登板となったわけであるが、佐々木の場合はもう少し、時間が必要だったのかもしれない。

 前出のスカウトはこう付け加える。

「悩んでいる人によると、相手と戦う前に、自分と戦わないといけない状況にもなるそうです。今後も付き合っていかないといけないかもしれません」

 つまり、ブルペンで違和感が出た段階から万全の投球が厳しかったのだ。初回、明らかにいつものボールのキレではなく、変化球も抜けていた。制球できていないのは明らかだった。試合前から「不安」を抱えていたのであれば、早い段階で首脳陣に正直に報告すべきだった。マウンドを託された「責任感」から言い出せなかった気持ちも十分、理解できる。しかしながら、結果的に個人の判断が、チーム全体に影響を与えてしまうのである。

 今大会、事実上、佐々木の登板機会はなくなった。壮行試合で投じた12球、韓国での19球から多くの教訓を得たはず。肩、ヒジの故障でなかったことが不幸中の幸いである。今後の野球人生に生かすべきだと思う。

文=岡本朋祐 写真=高原由佳

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