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週ベが選ぶV奪回を果たした巨人の投手MVPは?

 

エースの不調をカバー


リーグトップの15勝を挙げ、優勝に大きく貢献した山口


 エースの菅野智之がコンディション不良に苦しんだ。その間、穴を埋め、先発陣の柱となったのは山口俊だった。宮本和知投手総合コーチは常々「(山口)俊の頑張りが大きい。本当によく投げてくれている」と目を細めてきたが、背番号11が巨人優勝の投手MVPで間違いないだろう。

 躍動ぶりは、3.4月、6月と2度の月間MVPに輝いたことからも分かる。特に菅野が離脱して迎えた6月には、チームとしても不安があった。巨人にかかわらず、毎年、その戦いぶりがシーズンの優勝争いに反映される傾向が高い交流戦が控えていたからだった。

 だが、山口は4勝を挙げ、リーグトップの防御率0.77。パ・リーグ相手の抜群の安定感は頼もしかった。チームは6月を15勝7敗で終え、首位を快走した。開幕から3カ月。疲れの出る梅雨時期でも「疲れはたまりますけど、それはみんな一緒ですから。万全で投げられる試合なんて、数試合しかない。悪いときにいかに試合をつくれるか」と話す。

 キャンプでは1日200球を超える投げ込みで土台をつくった。「自分にとってはこれがいつものやり方」。疲労が蓄積したときに、この貯金が生きるからだ。8月に右ヒジの違和感で再調整を経験したが、復帰後も順調に白星を重ねた。9月21日時点で自身最多、ハーラートップの15勝をマーク。初となる最多勝のタイトルも手が届くところまできた。

 2016年オフにDeNAから国内FA権を行使し、巨人に加入した。底知れぬスタミナが持ち味の本格派右腕は、先発ローテーションの一角として期待されたが、7月には暴行トラブルを起こした。8月18日からシーズン終了までの出場停止処分を受け、大きく期待を裏切る事態となった。

 昨年はシーズン終盤にチーム事情から守護神に転向したこともあった。16年12月5日の入団会見。「心機一転、新しい自分をつくりたい」と扉をたたいたFAだったが、過去2年間は自らの過ちもあって本来持っている力を発揮できなかった。その2年間、沢村賞に輝いたのが菅野だった。そして菅野が苦しんだ今シーズン、山口は輝きを取り戻した。

写真=BBM
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