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4連覇はダメでも……。「日本一」へ、広島が見る夢

 

サヨナラ勝利の意味合い


會澤翼の適時打でサヨナラ勝ち。「下克上日本一」の夢に第一歩を踏み出した?


 9月19日のDeNA戦(横浜)で7点リードをひっくり返されてサヨナラ負けし、今季、広島が目指した4連覇の夢はついえた。4連覇を逃したことに関する分析は『週刊ベースボール』本誌10月7日号に掲載しているのでそちらをご覧いただきたいが、カープはその後、9月21日の阪神戦(甲子園)でも逆転負けして4連敗とチーム状態は下降線をたどり、逆転CS出場を狙い絶好調の4位・中日にも迫られて、苦しい状況になりつつあった。

 そのムードを一変させたのが、9月23日、本拠地・マツダ広島に帰っての中日との直接対決だった。17年間、チームのために投げてきた永川勝浩の引退試合ともなったこのゲーム、カープはシーソーゲームの末、延長10回サヨナラ勝ち。今季のレギュラーシーズンで最も大きいともいえる勝利を挙げた。

 この勝利の意味合いはとにかくいくつもある。まず、自力によるCS進出確定の目を残したことが一つ。これで27日のシーズン最終戦で中日に勝てばCS確定になる。シーズン終盤は順位の決まったチームは来季へのテストに入ってしまうことが多く、他力本願の状況はほぼ当てにならないだけに、これは何より大きい。

 次いで、CSに出場できた場合に向けての選手の状態の上昇だ。まず、先発の大瀬良大地の好投。このところ中5日での先発が続き、9月10日の中日戦(マツダ広島)で勝利を挙げたほかはやや低調だったエースが、この日は6回2/3を4安打6奪三振1失点。これで、シーズン終盤好調のジョンソンと、CSに向け左右の両輪がそろうことになる。

 打線では、長野久義が3安打に貴重な押し出し四球と好調維持、松山竜平も外角球に投げ出すようにバットを出しての適時打と、いいヒットが出た。鈴木誠也を三番にしている現在の打線においては、なんといってもそのあとを打つ長野、松山両選手の出来がカギ。これもCSに向けての好材料だ。さらにはこのところ当たりが止まっていた小園海斗にも、復調のきっかけとなりそうな二塁打が出た。あとは一番の西川龍馬が調子を上向かせてくれれば、打線はほぼそろう。

 そして、この日の収穫として一番大きいのは、本拠地に戻ったこともあるが、CS出場への執念と、「永川さんのために」という気持ちが結集し、カープ野球本来の粘り、リズムがよみがえってきたことだ。10回裏に見せた、ここ一番での鈴木誠也の三盗成功は、まさにカープ野球。最後に選手会長の會澤翼がサヨナラ打を放ったのも、チームを上げ潮に乗せる要素になろう。

CSに出場すれば……


 さて、そうして大きな1勝を手にしたカープ。もちろん、この後はまず、中日との最終戦に勝つことが大事になるが、CS出場が手にできた場合、広島がCSを勝ち抜く可能性は、それなりにあるのではないかと見る。出場した場合に対戦相手になるDeNA、巨人とも、若干、ここにきて先発投手の頭数が不足している感があるからだ。

 もちろん、DeNAには、今季対戦成績0勝5敗と苦手の今永昇太がおり、初戦に抑えられていきなりガケっぷちに追い込まれる可能性もあるが、ペナントレースでの今季最後の対戦では打ち込んでいるところに期待をかけたい。また、第2戦、第3戦についても、広島は第2戦がジョンソンまたは大瀬良、第3戦は床田寛樹の先発が予想され、上茶谷大河、バリオスあたりが相手ならそれなりの勝利確率が見込めそうだ。

 そして対巨人については、何といってもレギュラーシーズンで14勝10敗1分けと勝ち越しているのがよりどころ。少なくとも、広島は巨人から見て最も嫌な対戦相手のはずだ。もちろん、山口俊は難敵になるが、菅野智之の状態次第では、巨人の先発がキャリアの浅い若手投手や足で揺さぶれる外国人投手頼みになる可能性も高く、崩せる可能性は十分にある。広島は前半は野村祐輔九里亜蓮あたりの先発起用になるだろうが、何とか早いうちに相手のアドバンテージを消し、大瀬良、ジョンソンの登板が回ってくるところまで持ちこたえることができれば、勝利への道が見えてくる。

 もちろん、現状、可能性の高い3位からの出場となればビジターで戦うことになるので、有利とまでは言えないが、レギュラーシーズンで背負っていた連覇の重しが取れて「負けてもともと」という楽な精神状態が作れることも考え合わせると、勝ち抜けの可能性もそれなりに期待できると言えるのではないだろうか。

 残念ながらリーグ4連覇はならなかったカープだが、実はセ・リーグ内だけでの成績なら、巨人とも大差ない数字になる。もし、今、セ・リーグで一番勢いのある中日を自力で止めてCSに出場し、DeNA、巨人を立て続けに倒しての日本シリーズ出場となれば、「下克上」ではあっても、けっこう堂々たるセ・リーグ代表、と言えることになるような気も、しないではない。

文=藤本泰祐 写真=BBM

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