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ドラフト予想史

注目株の筆頭・小池、そして若田部に指名が集中/平成ドラフト予想史【平成2年、3年】

 

亜大の小池に8球団が競合


ロッテに1位指名された小池


 平成2年、1990年のドラフトは、前年のドラフトで巨人から指名されず、ダイエーの入団を拒否して浪人している元木大介と、亜大の小池秀郎が目玉だった。左腕の小池はヤクルト、巨人、西武を“逆指名”。前年の経緯から巨人を除く11球団は元木に対して傍観の構えだったのとは対照的に、小池に対しては、どの球団も強気の姿勢を見せていた。

 当時の週刊ベースボールは、小池の“逆指名”3球団のうち、実際に指名するのはヤクルトだけで、それ以外では中日と近鉄が指名するものの、それほど競争率は高くならない可能性を指摘している。結果的には、巨人による元木の“一本釣り”は予想どおりだったが、小池には前年の野茂英雄(近鉄)に並ぶ8球団が競合することになった。

【1990年・12球団ドラフト1位指名】
阪神    小池秀郎→湯舟敏郎
ダイエー  木村恵二
ヤクルト  小池秀郎→岡林洋一
ロッテ   小池秀郎×
中日    小池秀郎→小島弘務
日本ハム  小池秀郎→住吉義則
大洋    水尾嘉孝
近鉄    小池秀郎→寺前正雄
広島    小池秀郎→瀬戸輝信
オリックス 長谷川滋利
巨人    元木大介
西武    小池秀郎→長見賢司
(→は外れ1位、×は入団拒否)

 ヤクルト、中日、近鉄が小池を指名したのは予想どおりだったが、“逆指名”の西武も小池を指名。これは管理部長の根本陸夫に翻弄されたもので、根本はドラフト前に元木の指名する可能性について言及していたのだ。ほかにも阪神、ロッテ、日本ハム、広島が小池を指名して、ロッテが交渉権を獲得したが、小池は入団を拒否して社会人の松下電器へ。悪夢の末、1年の浪人を経て夢をかなえた元木と、明暗が分かれる結果となった。

 ちなみに、小池を外したヤクルトは、同じ亜大から3位で高津臣吾を指名。高津は90年代から2000年代の前半、クローザーとしてヤクルトを支えていくことになる。

ダークホースは東北福祉大の斎藤隆


大洋と中日が競合し、抽選の末、大洋が指名権を得た斎藤(左から斎藤、金本知憲作山和英浜名千広伊藤博康


 続く平成3年、91年のドラフトは、週刊ベースボールも外れ1位も含めて大々的に予想を打ち出している。駒大の若田部健一が注目株の筆頭。法大の高村祐、日大の落合英二、東京学館浦安高の石井一久らが対抗馬で、いずれも投手だ。貴重な内野手は関学大の田口壮だった。

 若田部は大洋、ダイエー、巨人、日本ハム、広島の5球団が、高村は近鉄が、落合は中日、西武の2球団が、石井はロッテ、ヤクルトの2球団が、田口は阪神、オリックスの2球団が、それぞれ1位で指名すると予想。大阪桐蔭高の萩原誠が阪神の、ヤマハの吉田篤史がロッテと大洋の、それぞれ外れ1位に挙げられていた。

【1991年・12球団ドラフト1位指名】
阪神    萩原誠
ロッテ   吉田篤史
大洋    斎藤隆
ダイエー  若田部健一
巨人    若田部健一→谷口功一
日本ハム  上田佳範
ヤクルト  石井一久
オリックス 田口壮
中日    斎藤隆→落合英二
近鉄    高村祐
広島    若田部健一→町田公二郎
西武    若田部健一→竹下潤
(→は外れ1位)

 ダークホースは東北福祉大の斎藤隆で、斎藤を外した中日が外れ1位で落合を指名。阪神は萩原を、ロッテは吉田を、単独1位で指名した。

 ちなみに、田口を単独1位で獲得したオリックスは、4位で愛工大名電高の鈴木一朗を投手として指名。外野手にコンバートされ、プロ野球で初めてシーズン200安打を突破、2019年にマリナーズで引退した、のちのイチローだ。

写真=BBM
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