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阪神・メッセンジャー、バッキー氏への思いを語る

 

阪神時代、自宅で家族とリラックスして写真に写るバッキー一家。メッセンジャーの活躍でバッキー氏の功績がもう一度よみがえった。それを誇りのひとつとしてメッセンジャーは現役を引退した



 6連勝でCS進出を決めた阪神。その前日、9月29日の中日戦(甲子園)で阪神での10年間、そしてプロ野球人生21年に幕を下ろしたランディ・メッセンジャー。NPB通算100勝まで残り2勝だった。そして彼と交流があり、尊敬していたジーン・バッキー氏の通算勝利記録にもあと2勝届かず現役を終えた。そのメッセンジャーが引退表明した1日後の9月15日にバッキー氏の死去が報道された。あまりにも運命的な流れだが、その死に対しメッセンジャーはこう語ってくれた。

「多分だけどジーンの娘さんが、彼が亡くなったことを誰よりも先に、僕と妻に伝えてくれた。彼にとってそれだけ僕らの存在が大きかった思うんだ。僕らは今までたくさん交流することができた。それによりジーンが僕の一番のファンになってくれて、彼の記録を僕が抜くことを本当に楽しみにしてくれていたんだ」

 そして、娘さんに対しては「これも多分だけど、ジーンが阪神で活躍したときというのは、彼女は小さかったから記憶ははっきりしていないと思うんだ。でも、僕がジーンと交流する中で、彼の記録に挑戦し、近づいていったことで、いかにジーン・バッキーというピッチャーが偉大だったのかを理解してくれたんじゃないかと思う。僕がその役割を果たしていると思うと不思議な感じだよ」。

 もちろんNPB通算100勝を達成し、バッキー氏に並び、抜くことが一番の供養になることだったが……「それも含めて野球だからね。ただ、娘さんがすぐに連絡をしてくれたことを誇りに思っているんだ」。

 誰にも負けたくないという強い気持ちで阪神のエースまで駆け上がり、数々の外国人投手記録(NPB外国人最多奪三振、開幕投手5年連続6度&3勝など)を更新した。だが、最後は肩の痛みでバッキー氏の通算勝利数は超えられなかった。それも受け入れ引退を決めたメッセンジャー。いつの日かNPB通算100勝を超える外国人投手が出現してほしい。そうすれば、もう一度バッキーとメッセンジャーの記録がよみがえるはずだから。


文=椎屋博幸 写真=BBM
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