高校生ドラフトでは久々に予想が復活
田中には1巡目で4球団が競合し、楽天がクジを引き当てた
夏の甲子園で早実高の
斎藤佑樹、駒大苫小牧高の
田中将大が決勝引き分け再試合を投げ合った平成18年、2006年のドラフト。勝者の斎藤はマウンドで汗をハンカチでぬぐう姿から“ハンカチ王子”と呼ばれ、同世代の高校生たちは“ハンカチ世代”とも言われた。
このとき、世代の旗手は間違いなく斎藤だったが、そんな斎藤は9月11日の記者会見で早大への進学を表明。前年よりも早い9月25日に行われた高校生ドラフトは“主役不在”となったが、注目選手の数で前年に及ばないものの、個々の能力では負けていない。
週刊ベースボールでも久々に「シミュレーション」という表現で予想を展開。田中に4球団、愛工大名電高の
堂上直倫と鷺宮高の
増渕竜義に3球団ずつが競合、PL学園高の
前田健太は
広島が、八重山商工の
大嶺祐太は
ソフトバンクが単独指名し、田中は最大7球団が競合する可能性もあるとしていた。
【2006年・高校生12球団ドラフト1巡目】
横浜 田中将大→
北篤 楽天 田中将大
広島 前田健太
オリックス 田中将大→
延江大輔 巨人 堂上直倫→
坂本勇人 ロッテ 大嶺祐太
ヤクルト 増渕竜義
ソフトバンク 大嶺祐太→
福田秀平 阪神 堂上直倫→
野原将志 西武 増渕竜義→
木村文和 中日 堂上直倫
日本ハム 田中将大→
吉川光夫 (→は外れ1巡目)
増渕の指名を予想していた横浜が田中、田中と予想していたロッテが大嶺を指名したことを除き、予想は的中。週刊ベースボールも1巡目に並んだ5人を“BIG5”と注目していたが、堂上を外した巨人は光星学院高の坂本勇人、大嶺を外したソフトバンクは福田秀平、増渕を外した西武は木村文和(のち文紀)、田中を外した日本ハムは吉川光夫ら、のちの戦力の獲得に成功している。
大学生、社会人ドラフトでは久々の入団拒否
日本ハムに4巡目で指名された長野
大学生、社会人のドラフトでは、楽天は2年連続で希望枠を埋められず、ロッテも2年連続で希望枠を回避して高校生2巡目を選択。ここ数年と同様、特筆することもない、予定調和で終わるはずだった。そんな空気が一変したのが3巡目に入った直後のことだ。
【2006年・大学生&社会人12球団ドラフト1巡目】
横浜
高崎健太郎■
楽天
永井怜 広島
宮崎充登■
オリックス
小松聖■
巨人
金刃憲人■
ロッテ ※
ヤクルト
高市俊■
ソフトバンク
大隣憲司■
阪神
小嶋達也■
西武
岸孝之■
中日
田中大輔■
日本ハム
宮本賢■
(■は希望枠。※は希望枠の指名回避)
その3巡目、指名トップの横浜がロッテ入団を希望していた東京ガスの
木村雄太を指名すると、阪神とヤクルトがマークしていた法大の
大引啓次はオリックスが指名。そして、巨人への入団を熱望し、巨人も指名すると思われていた日大の
長野久義は、巨人が3巡目の指名を見送ると、4巡目のトップだった日本ハムが指名した。
大引は入団したが、木村雄と長野は入団を拒否し、長野はホンダへ。ともに夢をかなえるのは持ち越しとなった。
写真=BBM