有力選手17人を階層化
平成22年、2010年のドラフトは、4年前の夏に早実高のエースとして甲子園で優勝投手となった、早大の
斎藤佑樹が迎えるドラフト。その去就に注目が集まる中、週刊ベースボールは2週に分けて、独自の視点で予想を展開した。
それまでは「どの球団が誰を1位で指名するか」が予想のメーンだったが、斎藤だけでなく、多くの注目選手がそろって“豊作”と言われたドラフトだけに、1週目では有力な17人の選手をA、B、C、Dの4グループに階層化。1位で競合することが確実とするAグループには斎藤、中大の
澤村拓一、早大の
大石達也ら“大学生右腕3人衆”。1位の単独指名あるいは外れ1位のBグループには佛教大の
大野雄大、早大の
福井優也、法大の
加賀美希昇、東京ガスの
榎田大樹ら4投手。外れ1位のCグループには八戸大の
塩見貴洋、東海大相模高の
一二三慎太、東海大の
伊志嶺翔大ら3選手。外れ外れ1位のDグループは7選手で、そのうち野手は履正社高の
山田哲人、PL学園高の
吉川大幾の2人だけだった。
この分類に携わったのが、前年まで
巨人のチーフスカウトを務めていた中村和久氏。その視点は、少ない選手に多くの球団が競合することを予想したものでもある。そして迎えたドラフトでは、外れ1位どころか、外れ外れ1位でも抽選が繰り返されることになった。
一方、2週目では、従来の予想も展開。最多が大石の5球団で、澤村が
広島、巨人、
中日の3球団、斎藤にヤクルトとロッテの2球団が競合し、大野は日本ハム、榎田は
西武が単独で指名すると予想していた。
【2010年・12球団ドラフト1位】
横浜 大石達也→
須田幸太 楽天 大石達也→塩見貴洋
広島 大石達也→福井優也
オリックス 大石達也→伊志嶺翔大→山田哲人→
後藤駿太 ヤクルト 斎藤佑樹→塩見貴洋→山田哲人
日本ハム 斎藤佑樹
巨人 澤村拓一
ロッテ 斎藤佑樹→伊志嶺翔大
阪神 大石達也→榎田大樹
西武 大石達也
中日 大野雄大
ソフトバンク 斎藤佑樹→
山下斐紹 (→は外れ1位)
繰り返された抽選
大石に予想を上回る6球団が競合した。巨人を希望していた澤村は、巨人が単独指名に成功。指名が予想されていた広島と中日だが、広島は大石の争奪戦に参加、中日は大野を単独で指名した。斎藤は予想の2球団に加え、日本ハムとソフトバンクが指名して4球団の競合となり、日本ハムが交渉権を獲得した。
西武は榎田ではなく大石を指名し、
渡辺久信監督が前年の
菊池雄星に続いて、1/6の交渉権を引き当てる離れ業。大石を外した広島は4年前に巨人から指名されながら早大へ進んだ福井優也の獲得に成功し、大石、斎藤、福井と、早大の3投手がドラフト1位に並んだ。また、榎田は大石を外した阪神へ入団したが、18年に西武へ移籍して優勝に貢献している。
外れ1位で競合したのが塩見と伊志嶺。この2人を外したオリックスとヤクルトが競合したのが山田だ。外れ外れ1位という形になった山田は、交渉権を獲得したヤクルトの主力に、そして球界を代表する打者へと成長している。山田をも外したオリックスが“外れ外れ外れ1位”で獲得したのが前橋商高の後藤駿太だった。
写真=BBM