昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 福本豊は西本監督のお気に入り?
今回は『1969年3月17日号』。定価は60円。
春季キャンプでの各チームの新人の現在地が紹介されていた。
その中で「さすが!」と思ったのが明大から中日にドラフト1位で入った
星野仙一だ。
シートバッティングで投げるように指示された際、星野は水原茂監督にこう尋ねた。
「打たせるのですか、それとも牛耳るのですか」
水原監督もさすがに驚いたようだが、
「好きなようにせよ」
と一言だけ返した。
まあ、そうは言ってもそれなりには打たれたのだが、主砲の
江藤慎一はきっちり三振。
「プロの代表的バッターに初対面で勝ったのはうれしい」
と鼻高々だった。
法大から入った
山本浩司(浩二)も打撃は今一つながら守備は大絶賛されていた。
「ここ十年、あれだけの強肩とコントロールを持った外野手はうちにはいなかった。守りの範囲は広いし、守備面に関しては、すでに一級品ですね」
上田利治コーチも目を細める。
前号でも触れた阪急の
福本豊は、チームの新人では唯一の一軍切符をつかんだ。当時から人を食ったようなコメントは変わらなかったようだ。
「プロに入って周囲を見たら見上げるような大男ばかり。えらい社会人に飛び込んだと思った」
「投手はみんなスピードがあるなら真ん中から内角寄りはみんなバントしてみようと思っている」
西本幸雄監督は抜擢の理由を
「もうこれから伸びるという選手ではない。しかし、実戦的だ」
と話していた。代走、守備固めで、ということだったのだろう。
グローバル・リーグは
田中義雄が監督を辞退した。代わりは
森徹になるらしい。詳しい顛末は、この号にはなかった。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM