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ホークス対ジャイアンツ日本シリーズ激闘史

ファン熱狂! 20世紀の終わりに実現した珠玉の「ON対決」/ホークス対ジャイアンツ日本S激闘史【2000年】

 

10月19日から始まる日本シリーズに3年連続で出場するソフトバンク。南海、ダイエー時代を含めて頂上決戦に挑むのは19回目となるが、ここでは過去のホークス対ジャイアンツの日本シリーズでの激闘を振り返っていく。

「連覇してこそ本物」と挑んだシーズン


2000年の日本シリーズは王監督(左)率いるダイエーと長嶋監督率いる巨人の対決となった


 2000年以来19年ぶりの顔合わせとなったホークス対ジャイアンツの日本シリーズ。その間ホークスは6度、ジャイアンツは5度とリーグ最多のシリーズ出場数だが、巡り合わせなのか不思議と1度も対戦がなかった。今回が11度目の顔合わせとなるが、前回対戦時のホークスは王貞治監督(現会長)率いる前身のダイエー時代である。

 ミレニアムイヤーと言われたこの年、夏にはシドニー五輪が開催され日本は金メダルを5個獲得。野球では初めてプロが派遣された年で4位に終わったが、ダイエーからは松中信彦が出場していた。

 前年、ダイエーとしては初優勝(ホークス通算13度目)を果たし日本一も奪取。「連覇してこそ本物」で挑んだシーズンは、8月末に西武に3.5ゲーム差をつけられた2位だったが、9月1日から破竹の9連勝で首位に立ち逃げ切り、ホークスとしては34年ぶりのリーグ連覇を達成した。史上初の2ケタ勝利投手なしでの優勝だったが、12球団一と言われたリリーフ陣と、小久保裕紀、松中の100打点コンビがチームを支えた。

 一方セ・リーグは、長嶋茂雄監督率いる巨人が6月中旬から走り、2位に8ゲーム差をつけ4年ぶりのリーグV。20世紀最後の年にプロ野球を牽引してきた王監督と長嶋監督の「ON対決」が実現した。ホークスの南海時代は何度も日本シリーズに出場したが、「ON」が打線の中心だった巨人に苦汁をなめた。その2人がミレニアムイヤーに監督として雌雄を決する戦いをするのだから、オールドファンにはたまらないものがあった。

ダイエーは連勝スタートだったが……


初戦の9回、代打で決勝2ランを放ったダイエー・ニエベス


 10月21日に東京ドームからスタートした日本シリーズ。第1戦の先発はダイエーが若田部健一、巨人が工藤公康。工藤は5年間ダイエーに在籍。前年は11勝をマークし優勝に大きく貢献しMVPを獲得。ダイエーを強くした功労者だったが、オフに2度目のFA権を行使し巨人に移籍。この年もチーム最多タイの12勝を挙げていた。

 試合は初回、巨人が松井秀喜の2ランで先制するが、2回、昨年までの女房役だった城島健司が工藤から「恩返し」の一発。その裏、巨人は仁志敏久の二塁打で再び2点差とした。ダイエーは5回から自慢のリリーフ陣を登板させ6回まで膠着状態が続いたが、試合が動いたのは7回。ダイエーは先頭の大道典良が中前打を放ち出塁すると、一死後、五番の松中が起死回生の同点2ランを工藤から放ち試合を振り出しに戻した。9回、ダイエーは先頭の代打・ニエベスが代わったばかりの槙原寛己から右翼スタンド2階席上の看板まで届く特大アーチで勝ち越し、さらに秋山幸二のタイムリーで突き放し初戦をものにした。

第2戦の5回、3対3の同点に追い付いたダイエーは小久保の二塁打で勝ち越した


 第2戦も巨人が3回までに3点をリードするが、流れが変わったのは5回。ダイエーは先頭の秋山幸二の投ゴロをメイが一塁に悪送球し秋山が二進(記録は安打と失策)。井口資仁がつなぎ一、三塁にすると、井口がすかさず二盗。これでメイのリズムがおかしくなった。柴原洋鳥越裕介の連続タイムリーで1点差とすると、巨人は木村龍治にスイッチ。直後、大道がレフト前、小久保が二塁打を放ちあっさり逆転。城島も2点二塁打を打ち一挙6点。7回にも城島が2ランを放ち8対3と快勝。この日も4回からリリーフ陣をつぎ込み、前日からリリーフは11イニング連続無失点と好調だった。

 福岡に移動しての第3戦は2回に3点を先制されるが、直後に城島の3試合連続本塁打と柴原の2点タイムリーで同点に追いつくが、3回に先発のラジオがKOされ、3対9で敗戦。2日置いた第4戦は巨人先発の斎藤雅樹に7回途中まで4安打に抑えられ、1対2で惜敗しタイに持ち込まれた。第5戦は巨人のルーキー・高橋尚成から2安打しか打てずに完封負け。一気に王手をかけられた。後がなくなった第6戦は、ダイエーが3回、城島の4号本塁打でこのシリーズ初めて先制するが、その裏、松井の本塁打などで4点を奪われ逆転されると、5回には5失点。4連敗を喫し「ON対決」は長嶋巨人に軍配が上がった。

 今年は11度目の対決となるが、過去ホークスは1勝9敗とたった1度しか勝っていない。しかし2010年代、ソフトバンクは5度日本一になっていて(巨人は1度)、球界の中心にいることは揺るぎない。また2年連続レギュラー2位からシリーズの切符を手にするほど短期決戦には無類の強さを誇っている。今季の交流戦でも、最終の巨人戦で勝った方が優勝という試合も、相手エースの菅野智之を打ち砕き5対1で勝利している。底力は12球団でも随一だ。

 工藤監督は現役時代両チームを日本一に導いた名投手だった。「古巣」相手の采配となるが、1980〜90年代にかけて、原辰徳監督とは日本シリーズで何度も対戦している。結果は16打数3安打、1本塁打、打率.188と投げ勝っている。令和最初の日本シリーズでは指揮官としての初対決となる。

写真=BBM
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