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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

日本シリーズで柳田悠岐がチームメートに抱き続けていた思いとは?

 

第2戦で本塁打を放つなど、要所でチームに貢献した柳田


 やはりソフトバンク打線にこの男の存在は欠かせなかった。三番に柳田悠岐がどっしりと座った。日本シリーズ第2戦(ヤフオクドーム)は3点リードの8回一死、桜井俊貴のカーブを左中間テラス席へと運んだ。主砲の一撃に本拠地のボルテージも最高潮。「詰まったんで一生懸命走りました」。“らしさ”満開の逆方向への一発を弾丸ライナーで突き刺した。

 長く苦しいリハビリ生活を乗り越えて、大舞台にたどり着いた。いや、仲間が連れてきてくれた。開幕直後の4月上旬に左ヒザ裏の肉離れを発症。想像以上の重症で実戦復帰は8月上旬までずれ込んだ。4カ月ぶりの実戦後、「治るかどうか分からない不安があった」と涙がほおを伝った。「そんなこともありましたね。今は野球ができるだけ幸せ。大舞台で野球をやれている。チームメートに感謝です」。だから笑顔でグラウンドに立った。

 8月下旬に一軍復帰し、パ・リーグ制覇には導けなかったが、クライマックスシリーズは7試合で打率.370をマークした。宿敵・西武を撃破して、巨人との頂上決戦に胸も踊った。「巨人とは初めてなので楽しみ。投打とも素晴らしい選手がいる。すごい強い相手ですけど、自分たちの野球で向かっていきたいし、挑戦したいという気持ち」と臨んでいた。

 日本シリーズでは当然のように相手バッテリーの厳しいマークにあった。その中でも初戦は、押せ押せムードにも乗って右前適時打を放った。「どんな当たりでもチームに点が入って良かった。今日は千賀さまさま、いい投球をしてくれた」とここに来てもチームメートに感謝。王手をかけた3戦目は押し出しを含む3四球とつなぎ役に徹した。「打てるボールを打ちにいった結果だった」と淡々。チームのためにできることを大舞台でも柳田は貫いた。その姿勢は日本一チームの主軸にふさわしいものだった。

写真=BBM
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