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週べ60周年記念

田淵人気が盛り上がっています!/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

ワシと飯島を比較するな


表紙は左からロッテ飯島秀雄阪神田淵幸一



 今回は『1969年5月12日黄金週間特別号』。定価は80円。

 阪神・田淵幸一の人気がすごいことになっている。甲子園では連日、入り待ち、出待ちで大賑わい。しかも当時の球界には珍しかった若い女性の黄色い声援だ。
 巨人ファンの女優・高峰三枝子さんも、こと田淵については、
「なんといっても彼氏のスマートさ、都会的なセンスじゃないかしら。女性ファンにしてみたら、たまらない魅力。いかにも坊ちゃん育ちのムードがあって、雑草のようなたくましさとは対照的な感じなんですよ」
 と、すっかりファンになったようだ。
 甲子園の観客動員もおよそ倍。5月10日からの阪神─巨人戦の前売り券は1カ月前に売り切れてしまったという。
 球団も「もう契約金(5000万円とも言われてた)の元は取った」とホクホク顔だ。

 あとづけのようでもあるが、戸沢球団代表はドラフトで田淵を強行指名した理由をこのように語っている。
「もし田淵が巨人に入っていたら、巨人は王、長嶋、田淵とそろって人気はますます上昇する。半面、ほかの球団はどうなりますか。ますます差がつきます。
 いうなればリーグ繁栄のためといいますか、つまりチームの名誉挽回と名門復活を田淵にかけたんですよ。だから十分に検討し、対策を立てて万全の態勢で指名した。なにも巨人よりくじが早くあたったから急に指名したわけじゃありません。阪神の浮沈をかける重大な意味を持ってやったこと。必死だったんですよ」

 もう一人の新人の人気者がロッテの飯島秀雄だが、6度目の盗塁王を狙う南海の広瀬叔功が飯島と比較され、ムッとした。
「なんでわしと飯島を比較せんといかんのや。野球は走るだけやないで。打って、守って、走って、この三拍子がそろわんとあかんのや。
 飯島は自動車で言ったらパーツや。それも車輪だけや。わしはエンジンからボディからみんな揃っているんや」

 なお、つのだじろうの連載漫画「栄光の背番号14」がスタートした。タイトルから分かるように、沢村栄治一代記のようである。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM

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