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DeNA 伊藤光の背中を押した三原球団代表の一言

 

FA権を行使せずに残留を決めた伊藤光


 プロ入り12年目でFA権を取得し去就が注目されていた伊藤光が、権利を行使せずにDeNA残留を発表した。契約は4年総額4億5000万円+出来高。10月23日の契約更改後、球団事務所で開いた会見で伊藤光は、「想像以上に評価していただいた」と笑顔をのぞかせ、「一言ではまとめられないんですが……」と、残留の理由を滔々と語った。

「(去年、オリックスからDeNAへ)トレードで移籍した僕を、ファンの皆さんが歓迎、応援してくれたのがすごく嬉しかったんです。声援のおかげで頑張ることができた。FA権の取得にあたって、SNSなどの『残ってください』のメッセージを見て、それも嬉しかった」

 シーズン終了後、チームメートには「どうするの?」と聞かれると「移籍するよ」と冗談めかして答えていたのは、すでに腹が決まっていたから。自らの口からファンに、残留を伝えたかったという。

「行使しようという迷いはなく、移籍したいとも思わなかった。それでも僕一人で取れた権利ではないし、いろんな方の支えでここまで来れた。だから、しっかり考えたかった」

 印象に残っているのが三原一晃球団代表の一言だ。オリックスで出場機会を減らしていた2018年途中にトレードでDeNAに移籍すると、伊藤光の捕手としての豊富な経験がチーム内で上手く作用し始めた。「僕はベイスターズに救われました」と伊藤光が感謝の気持ちを素直に伝えると、三原代表は「何を言っているんだ。おまえにチームが救われたんだよ」と逆に「ありがとう」と言葉を返されたという。「これ以上ない評価だった。めちゃめちゃ嬉しかった」とFA権取得前のやり取りを振り返る。

 今季は、正捕手の座につきながら8月の首位争いの最中、左手の骨折で戦列を離れ、悔しい思いをした。来季はフルシーズンでマスクをかぶり、リーグ制覇への思いを強くする。「今季は首位まで0.5ゲーム差に迫りながら、勝ちきれなかった。結局あと一歩が大きな差となった。勝つために全力を尽くしたい」。

 長らくキャプテンを務めた筒香嘉智は、メジャー挑戦のためにチームを離れる。まだ後任は決まっていないが、チームの屋台骨として伊藤光の存在がより脚光を浴びそうだ。

文=滝川和臣 写真=BBM
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