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3年連続本塁打王に向け西武・山川穂高が秋季キャンプで力を入れる練習とは?

 

今季、2年連続本塁打王を獲得した山川


「秋は、本当に個人個人の意識によるよね。オフ前だからと軽く流すのか、もう来シーズンは始まっていると思ってテーマを持って取り組むのか。それぞれの意識で大きな差が出る」

 10月24日に61歳の誕生日を迎えた西武辻発彦監督は、前日の23日、秋季練習中の選手たちを見つめながらそう話した。「大事なのは、一人ひとりの気持ちだから」としつつ、「一軍でここまでやってきた選手はみんな、自分がやるべきことは分かっている。黙っていてもやる選手ばかり」と指揮官の選手たちへの信頼度は非常に高い。

 10月30日から宮崎県日南市の南郷で秋季キャンプが始まったが、その信頼に応えるがごとく、誰よりも高い意識を持って挑むのが山川穂高である。

 今キャンプを「体づくり」とテーマ付けた。クライマックスシリーズ敗退後、ホームランキングは「本当に苦しかった。個人として、良かったことがほぼない。打席に入るのも怖かったし、嫌だった」と赤裸々に今シーズンを振り返った。苦悩しながら試行錯誤を重ねた結果、「フィジカル不足」という結論にたどり着いたという。

「技術、技術とずっと言ってきましたが、体がそもそも弱かったなと、今年はすごく感じました。例えば、直球を打てなかったというのを、『技術でどうにかしよう』とか、『上半身だけでこうしよう、ああしよう』というのが、今年は多かった。でも、そうではなくて、そもそもの体自体をパワーアップさせてしまえば、バッティングがレベルアップするんじゃないかと、やっと最後のほうで思った。秋練習からは体を変えたい」

 体を変えるといっても、痩せる、大きくするなどの肉体改造的な意味ではなく、「バテない筋肉を作って、野球の体をより一層強くする」ことが目的だ。

 そのために、南郷の地では「特に守備を頑張りますよ」と意気込む。その意図を、次のように説明した。

「単純に、守備って一生懸命やっていると、キツいんですよ。肺活量もキツいですし、捕球をしっかりと意識して捕ると、足もキツい。その中で、しっかりと捕って、良い回転をさせてきれいな球を投げる。同じ動作でも、一つひとつを意識して、丁寧にやることが野球にとって一番大事なのかなと。それによって、守備もうまくなるし、足も鍛えられるので、結果としてバッティングにも生きるし、自ずと体も絞れてくる。一石二鳥かなと思うので、この1カ月間は、そういうキツいことを続けてやろうと思っています。疲れてきたら、どうしても雑になってくることもありますが、そこをなんとか、頑張ってみたい」

 ライバルは、他人ではなく、「自分との闘い」だと山川。来季は早くもプロ7年目となり、後輩も年々増えていく。

「後輩に譲る気は一切ないです。もし、後輩がヘラヘラやっていたら、僕は注意するどころか、『よしよし』と思いながらやっていきたい。逆に、めちゃくちゃきちんとやっている後輩がいたら、『これはヤバイな』と思いながら、負けないようにやっていきたい」

 本塁打王を獲得したものの、本塁打を打っているときですら、今シーズンは「打っていて気持ち悪かった」という。2度と同じ苦水を飲まぬようレベルアップを誓う山川の来季は、すでに本格的に始まっている。

文=上岡真里江 写真=桜井ひとし
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