週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

FAの人的補償で加入した選手はどんな成績を残した?

 

 年俸がチームで10位以内の選手がFAで移籍した場合、移籍元の球団は移籍選手のランクに基づいた補償を受けることができる。補償はランクに基づいたお金が支払われる金銭補償と、プロテクト外の選手から指名して選手を獲得する人的補償があるが、いわゆる「代わり」として人的補償で移籍した選手は活躍できるのだろうか? 昨年オフに人的補償で移籍した選手の今季成績を調べてみた。

長野は二軍落ちも経験



 2018年オフにFAの人的補償で移籍した選手は、内海哲也西武から巨人に移籍した炭谷銀仁朗の人的補償)、長野久義(広島から巨人に移籍した丸佳浩の人的補償)、竹安大知オリックスから阪神に移籍した西勇輝の人的補償)の3人だ。彼らの2019年シーズンの成績は以下のとおり。

●内海哲也(巨人⇒西武)
一軍登板なし

●長野久義(巨人⇒広島)
試合:72
打数:180
安打:45
本塁打:5
打点:20
盗塁:0
打率:.250

●竹安大知(阪神⇒オリックス)
試合:10
勝利:3
敗北:2
セーブ:0
ホールド:0
ホールドP:0
投球回:54
失点:28(自責点27)
防御率:4.50

 炭谷の人的補償として西武に移籍した内海だったが、オープン戦の故障が響いて一軍登板はなし。同じく巨人から広島に移籍した長野は持ち前のバッティングができず、7月には二軍落ちを経験。しかし、8月から復調し、最終的に72試合に出場して打率.250という成績を残した。阪神からオリックスに加入した竹安は、9月1日に抹消となりそのままシーズンを終えたが、10試合に登板して3勝を挙げている。

 残念ながら、どの選手も「チームに大きく貢献をした」といえる成績を残したとはいえない。特に投手力に不安のある西武は、経験豊富な内海が1試合も投げられなかったのは誤算だっただろう。長野も丸が抜けた穴を埋めるほどの活躍が残せなかった。竹安は大崩れすることは少なかったが、先発ローテーションの一角に割って入るほどの成績ではなかった。

福地や赤松……人的補償で活躍した選手


広島・赤松真人(2008年撮影)


 人的補償で移籍した選手が大活躍するケースは少ないが、中には移籍した年からチームの主力として活躍した選手もいる。例えば、2007年オフに西武からヤクルトに移籍した福地寿樹は、その代表的な選手といえるだろう。

 FAで西武に移籍した石井一久の人的補償としてヤクルトに入団した福地は、2008年シーズンは一番打者に定着して131試合に出場。打率.320、61打点、42盗塁とキャリアハイの成績を残した。盗塁はリーグ最多で人生初のタイトルも獲得し、西武時代以上の活躍を見せた。

 福地と同じ2007年オフに、人的補償で阪神から広島に移籍した赤松真人も、移籍1年目から活躍し、主力に成長した選手だ。移籍1年目の2008年はケガで出遅れるもレギュラーに定着し、最終的に125試合に出場。阪神時代3年間の36試合を1シーズンで上回った。その後もチームの主力として活躍し、胃ガンからの復活もあったが2019年限りで引退。来季からは広島の二軍で外野守備・走塁コーチを務める。

 FAの人的補償で広島に加入した一岡竜司も、移籍を機に才能が開花した選手。巨人では2年間で13試合の登板にとどまっていたが、FAで加入した大竹寛の人的補償で2014年から広島でプレー。移籍1年目から中継ぎとして起用され、防御率0.58と優秀な成績を残した。同年にはその活躍が評価され、オールスターゲームにも出場している。

 内海や長野は期待されたような活躍が見せられなかったが、内海は来季も現役を続けることを明言しており、長野も後半戦に先につながる活躍を見せた。1年目は残念なシーズンとなったが、ともに来季の巻き返しが期待される。今季はまずまずの成績だった竹安は、来季は一軍スタートが目標。持ち前の安定感をさらに磨いていけば、先発ローテーションの一角に成長する可能性もあるだろう。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング