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ベースボールゼミナール

巨人・丸佳浩のバッティングの特徴は?/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.丸佳浩選手が巨人移籍後もコンスタントにヒットを重ね、打撃成績も常に上位に位置しています。広島時代も過去2年は連続MVPになり、昨季はホームランの数も増えていますが、どのような点に優れているのでしょうか。特徴と長所を教えてください。(千葉県・17歳)



A.スイングの軌道が良く、ミートゾーンが長い。ボールをバットに乗せて運ぶ技術もある



 一番の特徴は、ミートゾーンが長いことではないでしょうか。これはレベルスイング(スイングしたときの、バットのラインと肩のラインが平行になっていて、ボールの軌道にバットが入りやすい)がしっかりできているということで、ミートゾーンが長ければ、ヒットは増え、加えてパンチ力も持っていますので、良いポイントに当たればスタンドインします。

 ボールをバットに乗せて運ぶ技術も持っていますね。基本はホームランバッターではありませんが、このスイングの軌道と、技術を持っているため、アベレージも稼げてホームランも出るのです。ソフトバンクの柳田悠岐選手もレベルスイングがしっかりできる、アベレージもホームランも稼げるタイプですが、柳田選手のほうが粗く、丸選手のほうがより確実性もあると思います。

 ちなみに、丸選手の投球の軌道(ライン)に合わせるスイングは、2013年〜15年まで広島でコーチを務めた新井宏昌さんの影響が大きいようです。私も現役時代に指導を受けましたが、あらかじめグリップを下げてロックし、そこからレベルにボールの軌道に合わせてスイングをするのが新井流。一時期、丸選手もグリップの位置を低くロックしていたことがありました。14年はそれで打率3割を打っていますね。

 ただ、このころはホームランは20本に届かず、その後、丸選手なりに力強さが欲しくなったのでしょう。新井コーチの教えをベースに、フォームにアレンジを加えて、グリップをヒッチする、反動をつけるフォームに進化させています。レベルスイングの軌道は変わらない中、反動をつけることでパワーが増し、16年から今季まで4年連続20本塁打以上で、昨季がキャリア最多の39本塁打。さらにこの間、3割以上が2シーズンで、16年も.291、今季も3割前後をキープしているのですから、素晴らしいですね。

 昨季は130四球を選ぶ一方で、130三振も話題となりました。これは追い込まれてからも球種を張るタイプ、もしくは「こういうボールは来ないだろう」と割り切れるタイプであることを指していて、しっかりとデータを見て、生かせているからだと言えます。ベンチでノートを書いている姿も有名ですが、相手バッテリーもあれこれと悩ませることにもつながり、これも丸選手の強さだと私は思います。

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

『週刊ベースボール』2019年10月7日号(9月25日発売)より

写真=BBM
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