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則本昂大と銀次。生涯楽天を誓った男の決意とは?

 

FA権を行使して楽天残留を表明した則本昂


 楽天ファンにとっては悲報続きだった。10月9日、2013年の優勝の立役者の一人で、東日本大震災後には多くのファンを勇気づけた嶋基宏が自由契約となり退団。15日には楽天初年度のドラフトで入団し、今季は球団初の生え抜き監督を務めた平石洋介氏もチームを離れることに。2人はともに生え抜きでチームの顔とも呼べる存在だった。嶋は13年、平石氏は15年在籍。まだ応援席に人がまばらだったころからチームを支えてきた2人の退団に、複雑な思いを抱いたファンも少なくないだろう。

 だが、エースとキャプテンの残留表明は明るい話題となった。28日、FA権を獲得していた則本昂大銀次がそれぞれ会見。則本は「ほかのチームでプレーする気持ちはないし、これから先も楽天のためにプレーしたい」と宣言残留。銀次はFA権を行使せず「東北出身者としてここにいなくてはいけない」と使命感を口にし、「もっと東北を熱くしたい」と力強く語った。

 則本はシーズン前に長期契約を結び直しているだけに「この先も楽天イーグルスで頑張りたいという気持ちを表すためにもこれがベストと判断し、行使して残ることを決めました」と生涯楽天を誓った。今季はシーズン前に右ヒジの手術を受け12試合の登板にとどまったが13年以来遠ざかっている優勝への思いは強い。「来季以降はフルで戦えるように体のメンテナンスやトレーニングを積んでいきたい。優勝するために一生懸命投げたいと思います」。

銀次はFA権を行使せずに残留


 一方「東北のために自分ができることは、ここでプレーすることだと思いました」と東北愛を語ったのは銀次だ。岩手県出身で東日本大震災では誰よりも心を痛めた。「3.11から始まって、最近もいろいろなことが起きている。すごく苦労している人たちがいる中で、一生忘れることなく自分が野球で元気にしたい」。今季はキャプテンとしてチームをけん引し、チーム唯一の3割打者となったが「今季よりも来年、来年よりも再来年と成長していきたい」とまだまだ進化の足を止める気はない。

「常勝軍団にするためにも自分が先頭に立ってやっていく」と則本。銀次も「東北出身者として自分が中心となって、東北のみんな、応援してくれるみんなと一緒に優勝を目指してやっていけたら」と語った。再び東北に歓喜の瞬間をもたらすべく、投打の柱が来季以降のチームを力強く支えていく。

文=阿部ちはる 写真=BBM
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