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トライアウトに合格して再び活躍した選手たちは誰?

 

 合同トライアウトは、戦力外となった選手がスカウトに自分の実力をアピールし、入団を勝ち取るための場だ。長く一軍で活躍したものの、成績不振で戦力外になったベテランや、実力を発揮できずに二軍暮らしが続いていた若手など、参加する選手はさまざまだが、ここで合格して入団できる選手は一握りしかいない。ただ、中にはごくわずかなチャンスをものにし、再び活躍した選手もいるのだ。今回は、そうした「トライアウトに合格して再び活躍した選手」を紹介する。

石井義人(横浜⇒西武⇒巨人)



 2011年に西武を戦力外になった石井は、同年の合同トライアウトに合格して巨人に入団。2012年シーズンは主に代打として起用され、代打での打率は.405と、まさに「代打の切り札」といえる活躍を見せた。また、日本シリーズ進出を懸けて中日と戦ったCSファイナルステージでは、負ければ終わりという絶体絶命の場面で代打サヨナラヒットを放ち、CSのMVPを受賞。これで勢いづいたチームは3連勝で中日を破って日本シリーズに進出した。

 残念ながら活躍したのはこの年だけで、以降は打撃不振に陥り、2014年に戦力外通告を受けて現役を引退。ただ、2012年のバッティングは、レギュラーとして活躍していた西武時代にも匹敵するほどの勝負強さだった。

森岡良介(中日⇒ヤクルト)



 2008年オフに中日から戦力外通告を受けた森岡は、同年のトライアウトに参加してヤクルトに入団。持ち前の守備力が評価され、翌2009年は開幕を一軍で迎える。ただ、一軍定着とはならず、2011年までは一軍と二軍を行き来するシーズンが続いた。飛躍の年となったのが2012年で、この年は一軍で100試合に出場。翌2013年も自己最多の109試合に出場するなど、チームに欠かせない存在に成長した。2014年にはチームの選手会長にも就任し、この年は自身最高となる打率.276を記録している。

 その後は2015年、2016年と調子を落とし2016年限りで現役を引退した。引退後は一軍野手コーチ補佐を経て、現在は二軍内野守備走塁コーチを務めている。戦力外から選手会長にまで登り詰めた珍しい例だった。

宮地克彦(西武⇒ダイエー・ソフトバンク)


ダイエー・宮地克彦


 1989年ドラフトで西武に入団した宮地だが、西武では外野のポジションにライバルが多くなかなか活躍できず、2003年に戦力外となった。しかし、同年のトライアウトで合格してダイエーに入団すると、翌2004年はシーズン途中からレギュラーとなり93試合に出場。2005年は年間を通してレギュラーで活躍し、プロ生活で初めてオールスターゲームにも選出された。最終的に125試合に出場して打率.311を記録し、ベストナインにも選ばれている。

 続く2006年も開幕からレギュラーを務めるが、ケガが原因で打撃不振に陥り出場機会が激減。代打での起用が増えるも、調子が上向くことなく、この年のオフに戦力外となった。その後はソフトバンク、西武でコーチを務め、現在はエイジェック女子硬式野球部のGMを務めている。

久保裕也(巨人⇒DeNA⇒楽天)



 2002年ドラフトの自由獲得枠で巨人に入団し、35歳まで先発、セットアッパー、リリーフと複数のポジションで巨人投手陣を支えてきた久保。2016年にDeNAに移籍するも、実力を発揮できずに同年オフに戦力外となった。その後トライアウトを経て楽天に入団。右手指の血行障害もあり2017年オフに育成選手に変更となるが、翌2018年は再び支配下に戻り、一軍で25試合に登板、防御率1.71を記録した。

 今シーズンは二軍スタートとなったが、二軍戦で継投によるノーヒットノーランに貢献。一軍では21試合に登板し、ベテランらしい巧みな投球で2勝1敗2ホールド、防御率2.82という記録を残した。すでに来シーズンの現役続行も表明しており、チーム最年長投手としてどのような活躍を見せるのかに注目が集まっている。

 久保は来年も引き続き活躍する可能性はあるが、石井、森岡、宮地は活躍した期間は1、2年と短い。それでも一度戦力外になった選手が再び脚光を浴びるのは難しい。ただ活躍するだけにとどまらず、リーグ優勝に貢献、選手会長になる、ベストナインに選ばれるというのは、まさに「奇蹟」といっていいかもしれない。

 2019年の合同トライアウトは11月12日に行われ、48人が参加予定。見事に合格し、チームに貢献する選手は現れるのか。気になる人は足を運んでみてはどうだろうか。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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