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【MLB】MLB次代のスーパースター、フアン・ソト(ナショナルズ)

 

ナショナルズ快進撃の立役者となっている若き主砲のソト。打席では「ソトシャッフル」のルーティンで勝負強い打撃を生み出す



 ワールド・シリーズでナショナルズの20歳、若き四番打者フアン・ソトが大活躍するのを見て、ドジャースとの地区シリーズを思い出した。第5戦ドジャースが3対1とリード、好調だった前田健太でなくクレイトン・カーショーの続投で、アンソニー・レンドン、ソトが本塁打を連発、アッという間に同点となり、勝ちゲームをふいにした。

 デーブ・ロバーツ監督は前田を使わなかった理由を「(左打者)のソトに当てたくなかったから」と説明した。過去、前田はソトと対戦したことは一度もない。今季5月に6回1安打無失点で勝ち投手になった試合は、ソトが腰の故障で故障者リストに入っていた。前田は対右打者に比べて、対左打者の成績は芳しくなく、OPSは対右が.535なのに対し対左は.750。

 しかしながら前田のスプリットチェンジアップは左打者に有効であり、打者のタイミングが合っていると見れば、際どいコースに用心深く投げられる。前田を8回の頭から使っていれば、19年のポストシーズンはどうなっていたかとは思う。とはいえ「たられば」の話はこれくらいにしておこう。

 本題はソトだ。彼はMLBの次代を担うスターとして才能を開花させた。ワールド・シリーズ第1戦、19連勝中で無敵だったアストロズの右腕ゲリット・コールを二振りで沈めた。一振り目は本塁打。96マイル(約154キロ)の高めの真っすぐを叩いた打球は、ミニッツメイド・パーク名物、レフトの高架鉄道の線路際に落ちる特大の417フィート弾(約127メートル)。2本目は90マイル(約144キロ)のスライダーで、ライナーでレフトフェンスのスコアボードを直撃。「ここ数日間、反対方向に遠くへ飛ばす練習に取り組んでいた。(コールは)春のキャンプで対戦していたので、ボールの動きは知っていた」と言う。

 やられたアストロズのAJ・ヒンチ監督は「決して失投ではない。第1打席の空振り三振からしっかりアジャストした。バットスピードは速いし、落ち着いている。今日、私たちはソトをコントロールできなかったし勝敗を分けた活躍だった。年齢は数字にすぎない」と脱帽した。

ドミニカ共和国出身。15年に150万ドルの契約金で入団。昨季、19歳でメジャー・デビューし、120年ぶりに10代の選手で3試合連続本塁打をマークしたり、メジャー最年少で1試合3盗塁を決めたり、10代での79四球は史上最多と、早熟の才能を見せつけた。

 オフは日米野球で来日、2本塁打をかっ飛ばしている。今季も大活躍でナショナルズの四番に定着。打率.282、出塁率.401、34本塁打、110打点。盗塁も12回試み11回成功だった。そして何よりも重要なのは大事な場面で打つこと。ワイルドカードのブリュワーズ戦では、1対3の8回裏、剛腕ジョシュ・ヘイダーの高めの真っすぐを走者一掃の右前適時打とし大逆転に導いた。

 大舞台のプレッシャーにどう対処しているのかと聞かれると「投手対自分、それだけに集中し、周りの人のことは忘れる」と説明する。ボールを見送った後に、打席内で投手に向かって両足を素早く迫り出し睨(にら)みつける動作は「ソトシャッフル」と名付けられた。個人的に、かつての横綱・朝青龍の挑発的な仕切り直しを思い起こす。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images

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週刊ベースボール編集部

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