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野球の世界ランキングとは? 野球人口が多い国が上位?

 

野球ではアジアの国々の躍進が目立つ


プレミア12で世界一を目指す侍ジャパン


 現在行われている『WBSCプレミア12』は、野球の世界ランキング12位までのナショナルチームが参加し、世界一を決める大会だ。大会開始前、日本代表はランキング1位で、2位アメリカ、3位韓国という順になっていたが、それ以下の順位にはどのような国が並んでいたのか皆さんはご存じだろうか?

 野球の世界ランキングは「WBSCランキング」と呼ばれ、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)が発表しているものだ。かつてはIBAF(国際野球連盟)が発表していたが、2014年からWBSCに移行した。

 ランキングはIBAF公認の国際大会の成績によって決まり、対象試合はWBSやWBSCプレミア12といったプロも出場する試合だけでなく、18歳以下が出場するワールドカップなども含まれる。

 現在の最新ランキングは2018年12月17日に発表されたもので、TOP30は以下のとおりだ。

最新の「WBSCランキング」


 1位は日本代表。2014年のランキングで1位に浮上し、2018年9月に一度2位に落ちるも、再び首位の座を奪い返した。2位はアメリカだが、2012年以降ランキング1位になったのは2回だけで、後はすべて2位という成績。国際大会の成績は日本が上回っている。この2カ国がポイントで抜けており、2位のアメリカと3位の韓国とは約600ポイントもの差が開いている。

 日本以外では韓国、台湾といったアジア勢の躍進が目立つ。韓国は言わずもがな日本の宿命のライバルで、第1回WBSCプレミア12でも優勝している。台湾は常にアジア3番手という位置だったが。今回のプレミア12のスーパーラウンドで韓国を破るなど、上位を脅かす存在になってきた。

 メジャー・リーガーを多く輩出し、国際大会で無類の強さを発揮してきたキューバやプエルトリコ、ドミニカ共和国は強豪というイメージが強いだろう。しかし、世界ランキングはキューバが5位に食い込んでいるものの、プエルトリコとドミニカ共和国は10位以下。ドミニカ共和国は2013年のWBSで完全優勝し、その後も2大会連続準優勝を果たしているが、ここ数年の成績は芳しくなく、ランキングも下降している。

野球の競技人口が多い国ほど上位なのか


 では、競技人口の多い国ほど国際大会で強いのだろうか? ランキング1位の日本は、総務省の社会生活基本調査によると「野球(キャッチボールを含む)」の行動者数は約810万人としている。2位のアメリカでは、SFIA(スポーツ&フィットネス協会)が「2018年に野球に取り組んだ人の数は1,590万人だった」と発表している。

 3位の韓国は国全体での競技人口数は明らかになっていないが、高校の硬式野球部が全国で80校しかない。日本では硬式野球部のある高校は約4,000校あるので、単純に50倍もの差がある。高校野球でここまで大きな差があるのなら、全体の競技人口数も日本と大きな差があると考えられる。

 また、キューバやドミニカ共和国といった優秀なメジャー・リーガーを多く輩出している中米の国々は競技人口数の正確なデータがない。しかし、総人口数(キューバ約1,148万人/ドミニカ共和国約1,076万人)から考えて日本より多くの競技人口がいるとは考えにくい。欧州で特に野球が盛んなオランダやイタリアでも、競技人口は数万人規模だ。ただ、これはまだましな方で、ランキング下位の国だと数千人しかいないところがほとんど。中には数百人しかいないという国もある。

 こう見ると、「競技人口が多い国はそれだけ強い」となるが、競技人口が圧倒的に多くても強くないチームがある。それが中国だ。2019年10月30日に行われた中国野球産業発展フォーラムで、中国野球協会が「中国の野球人口は4,100万人いる」と発表。これはアメリカの1,590万人の倍以上の数字だが、中国は現在ランキング20位と競技人口数に見合った成績は残せていない。今後大きく成長する可能性もあるが、世界ランキングで上位になるのはまだまだ先のことになるだろう。

 ちなみにIBAFでは世界の野球人口は3,500万人としているので、中国はこの数字を一国で上回ることになる。人口約14億の中国なら4,100万人という数字も不思議ではないが、どういった調査方法だったのか気になるところだ。

 今回紹介したランキングは2018年12月17日に発表されたもの。2019年に行われた国際試合の成績を反映した最新のランキングは、これまでどおりであれば12月に発表される予定だ。WBSCプレミア12の結果も影響するので、現在のランキングも踏まえて、今大会を楽しんでみるといいだろう。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM

※データ出典基

⇒WBSC『ワールドランキング 男子野球』
https://rankings.wbsc.org/list/baseball/men

⇒総務省『社会生活基本調査「男女,ふだんの健康状態,頻度,年齢,スポーツの種類別行動者数(10歳以上)−全国」』
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200533&tstat=000001095335&cycle=0&tclass1=000001095377&tclass2=000001095378&tclass3=000001095380&tclass4=000001095382&stat_infid=000031592990

⇒SFIA『Baseball Participation Report 2019』
https://www.sfia.org/reports/715_Baseball-Participation-Report-2019

⇒公益財団法人 日本高等学校野球連盟『部員数統計・硬式』
http://www.jhbf.or.jp/data/statistical/index_koushiki.html

⇒韓国野球ソフトボール協会『鳳凰大旗全国高等学校野球大会』
http://www.korea-baseball.com/record/record/league_record?page=3&kind_cd=31&season=2019&lig_idx=749&group_part_idx=0&group_no=0&part_no=0&record_type=1

⇒中国野球協会
http://baseball.sport.org.cn/xxl/2019/1031/299566.html
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