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慶大の投手、高橋佑樹が青木宣親を“完コピ”する理由【明治神宮大会】

 

熱狂的なヤクルトファン


慶大の左腕エース・高橋佑樹の打撃フォームはヤクルト青木宣親にそっくり。本人も「完コピです」胸を張るほど、研究を重ねてきた


■明治神宮大会「2回戦」
慶大9対0東海大札幌キャンパス=11月17日(神宮)

 投手とは到底、思えない。メチャクチャ、雰囲気がある打席だ。

 バットをやや短く持ち、体を屈めて、ブラブラさせながらタイミングを取っている。

 現在もファンクラブに入会している熱狂的なヤクルトファン。慶大のエース左腕・高橋佑樹(4年・川越東高)が参考にしているのは、青木宣親の打撃フォームだ。冗談交じりながらも、その目は真剣である。

「完コピです。日夜、研究を重ねています。尊敬しているので」

 東海大札幌キャンパスとの明治神宮大会2回戦(11月17日)。慶大は9対0の7回コールドで快勝した。

 今大会はDH制が採用されておらず、投手も打席に立つ。東京六大学も同ルールであり、高橋は4年間8シーズンで打率.233(60打数14安打)、4打点と好成績を残してきた。この試合「九番・高橋」は大学初となるマルチ安打を記録。第1打席では、右越えの二塁打で1打点をマークしている。

 今大会の試合後取材は、指名選手が記者席裏のスペースに呼ばれる。高橋は冒頭から「今日は打撃ですよね? バッティングを話しにきたので」と上機嫌だった。

「六大学の利点は、打席に慣れていることなので。今大会へ向け、打撃練習もしてきました。(二塁打は)上がりすぎたかな? と思いましたが初めて外野のアタマを越えて……!! 気持ち良かったです!!」

 シーズン終盤から調子を上げていた。今秋は2安打を放ったが、最終カードの早大1回戦と3回戦で放ったもの。その秘密を明かす。

「打撃をつかんできたんです。ボールが見える。とらえ方を含めて、強く振れている。ウチは投手でも九番目の打者と言われている。自分自身も打撃が好きですが、(最後となる)今大会はかみ締めながら打席に立っています」

 東京六大学通算16勝。本職の投手では4回無失点も「ピッチングはあまり良くない」と、3回に先頭から2者連続四球を出したことを反省した。打撃の話に戻る。5回表の第3打席では左腕投手の真っすぐを鮮やかに中前打。直後に代走を告げられたが、それほど、バッティングが期待されていた証しである。

大久保監督を胴上げへ


 高橋はプロ志望届を提出したが、10月17日のドラフトでは無念の指名漏れ。あの日からちょうど、1カ月が経過した。すでに、心は切り替わっている。

「(ドラフト解禁となる)2年後を目指してやっていこうかな、と。社会人野球では、都市対抗で優勝することが目標。ただ、今はこの神宮大会での日本一しか考えていません」

 大学卒業後は、東京の強豪企業チームへ進む。社会人野球はDH制のため、打席に立つのは今大会がひとまず最後となる。19日は城西国際大との準決勝で、勝てば20日の決勝と、泣いても笑っても慶大で残された公式戦はあと2試合だ。

「大学野球は最後。リーグ戦では(今秋限りで退任する)大久保(秀昭)監督を胴上げできていない。日本一を遂げて胴上げしたい」

 ヤクルトの守護神として活躍したバーネット(19年はカブス在籍)が好きだったことから、慶大でも4年間、背番号「34」を着けた。小学校時代はスワローズJr.でプレー。何かとゆかりがあり、4年間、慣れ親しんだ神宮球場で完全燃焼する。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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