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新ユニフォームで「秋頂点」に立った中京大中京高が目指す偉業とは?【明治神宮大会】

 

中京大中京高(愛知)は明治神宮大会初制覇。健大高崎高(群馬)との決勝(11月20日)で4対3と逆転勝利を飾った


■明治神宮大会「決勝」
中京大中京高4対3健大高崎高=11月20日(神宮)

 高校野球の全国大会における最多133勝、11度優勝(春センバツ優勝4度、夏選手権優勝7度)を誇る超名門・中京大中京高(愛知)が明治神宮大会を初めて制した。

 同校は侍ジャパントップチームを率い「プレミア12」で初優勝へ導いた稲葉篤紀監督の母校である(在籍時は中京高)。大先輩が遂げた快挙を刺激にして、後輩たちは「秋頂点」に上り詰めた。

「神宮制覇」

 新チーム結成以降、この目標をブラさずに取り組み、愛知県大会、東海大会、そして神宮大会と無傷で勝ち上がってきた。

 就任10年目の高橋源一郎監督は、神宮の6000人の観衆の前で言った。

「この10年は長くて、中京を応援してくださる方々、学園の期待に応えられず、一歩、前進したかな、と思っています」

 広島堂林翔太を擁し、夏の選手権を43年ぶりに制したのは2009年。10年春、夏の甲子園へ導いた大藤敏行(現・享栄高監督)が同夏限りで勇退。同秋から高橋監督が率いるが、15年夏(3回戦敗退)、17年夏(1回戦敗退)と決して順風とは言えなかった。

 令和の新時代となった今夏、ユニフォームを一新した。リニューアルではなく、かつてのデザインに「復刻」したのである。

 旧ユニフォームは、丸首で胸には筆記体で「Chukyo」と入っていた。新ユニフォームは、1996年春までとほぼ同じで、伝統の立ち襟スタイル。胸の「CHUKYO」はアーチ型の活字体(ブロック体)となって、ストッキングには白の三本線が入っている。

「オールドファン、年配の方々はこのユニフォームに、愛着とプライドがある。今の子どもたちが(その歴史と伝統を)くんでくれている」(高橋監督)

 プロ注目の右腕・高橋宏斗(2年)に加え、今大会は左腕・松島元希(2年)にメドが立ったのは大きい。2人の投手をリードする正捕手で主将・印出太一(2年)、三番・遊撃手の中山札都(2年)一番・中堅手の西村友哉(2年)とセンターラインが強固な充実布陣である。10年ぶりのセンバツ出場は当確となっている。

 主将・印出は言う。

「この神宮大会で優勝できて、良い形で冬の練習に入れる。『秋日本一』となって追われる立場になりますが、浮かれることなく、レベルアップしていきたい。春も夏も(甲子園で)連覇して、歴史の残る代にしたいと思います」

 中京大中京高が春夏連覇を遂げたのは1966年(当時・中京商高)。つまり、主将・印出は54年ぶりの偉業を狙っていることを口にしたのだ。なお、センバツ制覇は同年を最後に遠ざかっている。

 2020年春は令和初のセンバツ。かつて全国大会を席巻した伝統のユニフォームを、球春の甲子園が首を長くして待っている。

文=岡本朋祐 写真=菅原淳
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