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石井一久GMの“改革”に楽天ファンはついて行くことができるのか

 

ロッテから楽天へFA移籍した鈴木(右)の入団会見。石井GM(左)は鈴木にロッテでつけていた背番号「7」を与えた


 プロ野球選手の背番号は選手にとっても、ファンにとっても大事だ。時に選手以上にファンは思い入れを込める。だが、楽天は歴史が浅いからだろうか。球団の背番号に対しての扱いとファンの思いにはズレがあるように感じる。「18」はシーズン無敗の絶対的エース・田中将大が背負った番号で、準永久欠番となっているが、それ以外の番号はあっさりと新戦力に渡してしまう。

 特に昨年は「7」をドラフトで1位指名した辰己涼介に与えたことで、楽天ファンの間には賛否が広がった。楽天ファンにとって「7」は山崎武司、2013年の優勝時に主将を務めた松井稼頭央が背負っていた偉大な背番号。石井一久氏が新GMとなり、球団のカラーが大きく変わろうとしていることは分かるが、あまりにもファンの思いを無視したものだったのではないか。

 とはいえ新入団会見で辰己は「山崎武司選手、松井稼頭央選手のように楽天の先頭に立っていけるような期待を込められていると思うので、1年目からアピールしてチームの顔となれるようにやっていきたい」と語り、その言葉を体現するかのように今季は楽天のルーキーの中では最も試合に出場したのだから、少しずつその背中に違和感を覚えなくなってきたファンもいただろう。

 しかし、11月18日、鈴木大地がFA権を行使し、ロッテから楽天への移籍を決断。27日に入団会見が行われて、そこで鈴木が「7」を背負うことが発表された。ファンにとって愛着があり、ドラフト1位の選手へ期待を込めて与えた背番号を、わずか1年で変更させてしまう。生え抜きに対しての“待遇”の悪さに疑問を感じるところだ。

 嶋基宏(現ヤクルト)、美馬学(現ロッテ)、平石洋介監督(現ソフトバンク一軍打撃兼野手総合コーチ)とチームひと筋の選手、首脳陣の流出が相次ぐ楽天。長きにわたって応援しているファンの思いが置き去りになっている印象を受けてしまう。石井GMの言う改革とはチームを強くし、新規のファンを獲得することなのだろうか。

 就任直後、「頑張ってねという声をすごくいっぱいいただきました。東北の方というのは温かい方が多いイメージ」と笑顔を見せていた石井GM。その未来のビジョンに、どれほどのファンの笑顔を描けているだろうか。選手、ファン、球団が一体となって歓喜の瞬間を迎えるために補強は重要だが、その過程においてファンが離れていかなければいいのだが。

文=阿部ちはる 写真=井沢雄一郎
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