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ベースボールゼミナール

インコース後の外角変化球への対応方法は?【後編】/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.インコースに強いボールを投げられた後、外の変化球が遠く見えて手が出ません。また、分かっていても、空振りするなど、なかなかうまく対応できません。その後、続けて攻められたインコースに詰まったこともあります。プロの選手はどのような点に注意しているのですか。また、技術的に対応するための方法があれば、アドバイスをお願いします。(山形県・18歳)



A.狙いを外された場合、カットする、ファウルする逃げられる技術を身につけると強いです


イラスト=横山英史


 前編(10月14日号)の続きです。インコースに強いボールを投げられた後、外の変化球が遠く見えて手が出せなくなるのは、ボールの残像が頭に残るからということを解説しました。特にインコースに強いボールを投げ込まれると、踏み込むと当たるかもしれない恐怖心が芽生え、体の開きが早くなったり、踏み込みが弱くなったりしてしまいます。逆にアウトコースを見せられた後のインコースも、アウトコースに目線と意識がいきますので、次のインコースに差し込まれがちです。

 対処法としては、残像を残さない工夫をすることに加え、インコースを攻められたら、「強く踏み込もう」と意識する、アウトコースを攻められたら、近めを対応するイメージを強く持っておくことが重要です。それくらい強く思わないと、無意識に悪いほうへ反応してしまうからです。

 質問の方は高校生ですが、さらにレベルが上がると、特にプロなどでは、そもそもコースをある程度絞っていかないことには打つことは難しいです。ただ、アウトコースに絞っていても、当然、インコースに来ることもあります。この場合、カットできたら、ファウルにできたら最高です。逆に、インコースを待っていて、アウトコースに来た場合、何とか当てられたら、触ってファウルに逃げられればいいな、と考えていました。

 これは「逃げられる技術」と私は考えているのですが、狙っていたボールが来なかったときに対応する1つのテクニックで、狙いと違うボールが来たらお手上げとなるのではなく、再び仕切り直してピッチャーと向かい合うことができますよね。すべてのボールを打ちにいくことはプロでも不可能ですが、このような技術を身につけていると、強いと思います。特に追い込まれてから逃げることができれば、当てにいくだけの凡打は減るはずですし、ヒットを打つ確率も高くなっていくのではないでしょうか。

 ただ、試合でいきなりは無理ですから、練習から取り組むべきで、例えばアウトコースを意識して踏み込んでいき、インコースが来たらバットを内から出して一塁側にファウルを打つ練習をしましょう。打撃練習では気持ちよく打ちたいものですが、あえて狙いを外されたときを想定して、苦しい打撃をするのです。初めからできる選手はいませんからね。

<「完」>

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

『週刊ベースボール』2019年10月21日号(10月9日発売)より
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