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理想像は川島慶三。西武・水口大地が再確認した己が進むべき道

 

球団が求める“水口大地像”


今季は“足”でチームに貢献するのが主な仕事だった水口


 12月2日、西武ライオンズの主力選手の契約更改が開始された。昨年同様、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでソフトバンクの前に敗退し、2年連続で日本シリーズ進出は逃したが、チームは最大の目標であるパ・リーグ連覇を達成。全体的に、査定は“暖冬”傾向が予想されている。初日となったこの日も、中村剛也が9030万円増の3億5000万円でサインと、貢献度に対して球団側も最大限の評価を示した。

 こうした、年俸交渉が契約更改の主な内容となる中で、水口大地は770万円の現状維持(金額は推定)を受け入れつつ、もう1つ、来季の自分の方向性を決める貴重な場にすべく、この交渉の席に臨んでいた。球団側からの話を聞くだけではなく、自ら「来年、自分がなるべき姿を聞きました」。

 今季は20試合に出場したが、先発出場3試合、途中出場17試合。うち、15試合が代走としての起用だった。特に、優勝争いが佳境に入った9月3日に一軍再昇格してから出場した11試合は、すべて代走から。その中で、盗塁を決めたり、得点走者になるなど、“足”でのチーム貢献に手応えを感じつつあった。「求められている役割もそこなのだとしたら、足のスペシャリストを目指すというのも、1つの道なのかな……」という考えが生まれたからだ。となると、「今の体重では重い。これまで続けてきた上半身のウエートトレーニングをやめるなどして、スピードに特化した体作りをするべきだと思う」。そうした、取り組みへの迷いを払拭するためにも、球団が求める“水口大地像”がどこにあるのかを、今一度しっかりと確認しておきたかったのである。

 返ってきたのは、次のような答えだったという。

「そこ(足だけ)ではなくて、水口には、ユーティリティーさとか、安心される選手になってほしい」

 これまでも、“万能さ”は磨こうと意識してきた部分ではあった。だが、あらためて明確な言葉にして求められたことで、己の生き残る道はよりはっきりとした。

レギュラー奪取のチャンスも十分


“ユーティリティー”といえば、水口にはずっと、理想像としている選手がいる。同じ長崎県出身の先輩・川島慶三(ソフトバンク)である。「まず何よりも、チームを明るく鼓舞するタイプ。その上で、しっかり自分の役割を果たす。守備がうまくて、内野だけではなく、いざとなったら外野も守れる。代走もできますし、バッティングも、左投手に強くて、4割近く打っている。本当にすごいですし、ずっとあこがれ。来季は、川島慶三さん的な存在を目指します!」。

“内外野守れる”という意味では2017年、自身も外野守備に挑戦し、左翼手として2試合出場した経験を持つ。以降のシーズンでは本格的に取り組んではいないが、2年前に努力して身につけた武器を、来季、再び研ぎ直す価値は十分にある。「代走だけだと、足で出ても、その後守れる人と、2つコマが必要になってしまう。でも、内外野両方とも守れれば、その必要はないですからね」。加えて、来季は不動の正中堅手だった秋山翔吾が海外FA宣言しているだけに、外野のポジションが1つ空く可能性が高い。そこに、二塁手・外崎修汰を起用する選択肢もあるだけに、内外野とも、レギュラー奪取のチャンスも大いにある。

 秋季キャンプは、所沢での残留組として汗を流したが、「これまでの野球人生の中で一番充実していました」。少人数の中で、じっくりと腰を据えてバッティング向上に取り組み、確かな手応えをつかめた。

 CSで「ソフトバンクとの層の差を痛感した」と水口。ユーティリティー性に磨きをかけ、自らがその差を埋める存在になってみせる。

文=上岡真里江 写真=BBM
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