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巨人5連覇、金田正一400勝をふっ飛ばした? プロ野球史の汚点、八百長事件/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

野球賭博の実情


表紙は巨人川上哲治監督



 今回も『1969年10月20日号』。定価は70円。
 
 前回と同じ号からです。

 西鉄の投手・永易将之の八百長が発覚した経緯だが、9月のパ・リーグ理事会の席上で西鉄・国広社長が「永易が八百長をした」という発言をしたことがあったらしい。記事では、それを誰かが読売の記者にもらしたのではないか、と言われた。
 国広社長が知ったのは、西鉄・ボレスが八百長を持ち掛けられ、それをロッテ与那嶺要コーチに相談。与那嶺から国広社長に伝わったらしい。ボレスに持ち掛けたのは永易ではなかったが、その後の調べで永易が中心と分かったという(あるいは、永易を中心にしようと決めた?)。
 発覚後、記者が殺到した永易は、サンダル履きのまま突如姿を消しており、西鉄が軟禁している、暴力団がかくまった、などと言われていた。

 西鉄・稲尾和久は、
「これはトレード、トレードで安物買いをしたところに起きたひずみだ。僕はパの選手会長をしているが、他球団に対して非常に申し訳ない。僕らが必死になって築き上げてきたライオンズの歴史に一大汚点を残した」
 と嘆き、中西太監督は監督の辞意と現役引退を表明した。

 当時の野球賭博は胴元が会員に毎日電話をし、試合に賭けさせる。手数料は1割で、誰かが20万円儲けたら、1万円が胴元に入る仕組み。1日1000万円のカネが動けば、胴元には100万円入るという形だったらしい。

 もちろん勝敗だけだと、いつも首位チームにかければよい、となってしまうので、ここでハンデがある。たとえば巨人─広島で、広島に3.5がつけば、巨人が3対0で勝っても、巨人に賭けた会員は全員負けになるわけだ。
 普通にやっていたら胴元は1割が入ってくるだけだが、絶対に予想できない展開(勝敗、点差)になって、賭けた会員全員が負けたら、全額が胴元に入ることになる。

 あくまで一例で出ていた話だが、賭け屋はそのために、あの手この手で選手に近づき、先発投手の情報をつかむと、後援者を装い(実際、そうだったこともある)、その選手を登板前夜に接待。下剤を飲ませたこともあったという。
 大阪には、この手の接待で有名な芸者がいて、別名「ピッチャー殺しの××子」だったとか。

 巨人5連覇とともに、この事件の陰となってしまったのが、金田正一の400勝だ。
 10月10日、優勝決定の翌日だった。巨人が3対1とリードした5回に金田が登板。その後を抑えて通算400勝を達成した。
「ほんまうれしい。400勝したのはナインのおかげや。みんなの協力がなかったらできんかった」
 と周囲に感謝。マウンドで胴上げもされた。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM

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