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「ワンポイントはなくなる」。来季は1イニング投げ切ることを誓う西武・小川龍也

 

背番号変更は向上心の表れ


今季は55試合に登板して4勝1敗、15ホールド、1セーブ、防御率2.58と自己最高の数字を残した小川


 山川穂高が『33』から『3』、金子侑司が『8』から『7』など西武ラインズでは来季、現有選手8人が、背番号を変更する。小川龍也もそのうちの一人だ。昨年7月19日に金銭トレードで中日ドラゴンズから加入。貴重な中継ぎ左腕として戦力に加わり、昨季、今季とも、ワンポイントから回またぎまでフレキシブルな役割でチームの優勝に大きく貢献した。

 特に今季は、首脳陣からの信頼も高く、プロ10年でキャリア最多の55試合、38回1/3に登板。4勝1敗15ホールド、1セーブ、防御率2.58と充実のシーズンを送った。自身も「西武に来て良かった」と実感しているこの約2年、背番号『44』で過ごしてきただけに、周囲からは「せっかく良い成績でこられているんだから、変えなくていいじゃん」という意見ばかりだったという。実際、本人も、球団から最初に「『29』か『44』、選んでいいよ」と打診された時には、「『44』でいいです」と言っていたと明かす。だが、熟考の末、『29』への変更を希望し、受理された。

 その決断こそ、小川の人一倍の向上心の表れと言っていいだろう。28歳左腕の頭には、常に「もっと上を目指したい」という思いしかない。あえて変化をつけることで、自らに「変わらなければいけない」と言い聞かせたのである。

 今季、自己最高の成績を残したが、シーズンを振り返ると、反省の弁ばかりが口をつく。中でも、繰り返し課題に挙げたのが、「ワンポイントでの起用が多かったこと」だ。もちろん、ワンポイント起用も、重要なチーム戦略の1つ。その要所に使ってもらえることに、大きなやりがいと喜びを感じていることも事実だ。

 だが、一方で「信頼されていたら、1イニング任せてもらえていると思う」という思いも強い。特に、来季からはメジャー・リーグ(MLB)で“ワンポイントリリーフ禁止”ルールが採用される。これまでも、コリジョンルール、申告敬遠、リプレー検証(リクエスト制度)など、MLBでの導入後に日本(NPB)で採用されている流れからも、「たぶん、ワンポイントはなくなると思う」と小川も見越している。それだけに、「1イニング、しっかりと投げ切る」ことを来季の自らのテーマに掲げる。

左打者対策を思案


 そこで、一番の課題となるのが、対左打者の被打率である。今季.292だった数字を受け、自分でも「打たれ過ぎ」と、ただただ苦笑するしかなかった。当然、契約交渉の席でも指摘されたという。課題克服のためには、「コントロールを相当良くするか、球威を上げて、打ち取る確率を高めることが必要」と分析。その方法として、「とことん投げること」に加え、もう1つ、「左の打席に常に誰かを立たせるとか、打者の代わりに人形のようなものを置くとかも、アリなのかも」という案も頭に浮かぶ。実際、中日には、そういった練習用の人形が存在していたという。「自分で買って、キャンプとかに持って行こうかな(笑)」。実際に購入するか否かは未定だが、1600万円増の推定年俸3300万円の有意義な使い道となりそうだ。

 自称「完璧主義者」。背番号変更をきっかけに、「1イニングを任せられ、しっかりと投げ切れる自分」への変貌が、来季目指す“完璧”なセルフビジョンだ。

文=上岡真里江 写真=BBM
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