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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

阪神・近本光司は、来季も自分らしく打つ

 

84センチのバットでセ・リーグ新人安打記録を作ったが、来季は85センチのバットに戻し、ヒットを量産するつもりだ


 セ・リーグの新人安打記録を更新した9月19日のヤクルト戦(甲子園)での第1打席。彼の使用していたバットの先端は黒ズミが目立っていた。実は8月17日の巨人戦(東京ドーム)から約1カ月間使い続けたお気に入りの1本だった。このバットで放った29本目のヒットがシーズン154安打で記録更新となった。今季は85センチ、890グラムのバットを開幕から使用していたが「むちゃくちゃ感触がよかったんですよ」とこの記録を更新したときのバットは1センチ短い84センチを使用していた。

 記録更新をサポートしてくれたこのバットは、その後折れてしまったが、シーズンが終わるまで、同様に84センチのバットを使用し続けた。CSファーストのときには使用メーカーのヤナセ社に84センチで890グラムのバットがなく、84センチ900グラムのバットの先端を少しくり抜いてもらい、890グラム前後にして使用していた。

 だが、11月23日に行われたファン感での「タイガース打撃王決定戦」では85センチのバットに戻していた。「やはり強い打球、自分の打球を打つには85センチがベストです」。

 今季の近本は最終的に159安打を打ったが、出塁率の低さを指摘されることがあった。そこは本人も自覚している。だが、積極的に打ちに行くスタイルの打撃から、いきなり四球を狙うような打撃に変更すると、自分の打撃がくるってしまうことも理解している。それならどうするのか……。

「より反応で打つ」という目標を掲げている。「どちらかというとコースに狙いを絞って打つスタイル」という近本。今季は外角を狙っていきながら内角に来たボールをヒットにすることがなかなかできず、一塁ゴロになることが多かった。そこで秋季キャンプはいくつかの長さを変えたバットを使い、さまざまな取り組みを行っていた。その中で一番短いバットで、動体視力を上げる練習を行っていた。

「やっぱり外角を狙いながらも、内角にボールが来たらクルッと回って打つことが理想。動体視力を上げていくことで、ヒットの確率を上げていきたいです」

 しっかりとバットを振っていく中で、さまざまなコースのボールに反応し昨年以上に安打を積み重ねることが、現在近本ができる出塁率の上げ方なのだ。12月6日には初の契約更改に臨み、3倍増の4500万円(推定)でサイン。「しっかり結果を残してチームのリーグ優勝、日本一に貢献したい」と熱く語った近本。自分の特長を最大限に生かし、1試合1打席に集中しながら今年以上の安打数と出塁率を目指していく。

文=椎屋博幸 写真=BBM
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