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週べ60周年記念

健気な阪神・後藤監督/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

野村、稲尾監督誕生


表紙は巨人高田繁



 今回は『1969年11月24日号』。定価は70円。
 
 青年監督が次々誕生した。
 11月4日、西鉄・稲尾和久監督(32歳)、5日、南海・野村克也監督(34歳)だ。稲尾は現役引退、野村は選手兼任となった。

 野村監督が就任時に掲げたのは、「ガッツ南海」。
「今の南海を再建するにはガッツほどふさわしい合言葉はないやろ。それにワシの名前の克也も、どことなくガッツに通じるところがあるやろ」
 コーチ陣には退団したばかりのブレイザーをヘッドに据えた。
「従来の南海の野球は、あくまで南海の中だけのものだったと思う。ワシはアメリカのベースボールを取り入れて、それを消化していきたいんや」
 杉浦忠が退団しそうとも伝えられていた。

 西鉄は、ほぼ深見安博に決まっていた。ノンプロ時代の西鉄に在籍し、そのままプロとなった人物だ。しかし10月30日になって楠根オーナーが稲尾新監督を発表した。
 稲尾はまずチームの引き締めをしたい、という。

 三原脩監督時代は学生寮のように整理整頓されていた合宿所も、最近はあちこちにマージャン台が置かれ、娯楽室には花札やトランプが散乱。担当記者によれば、
「まるでやくざの合宿所みたいに陰惨な感じを受けた」という。

 阪神は妙なことになっていた。後藤次男監督の下、2位になったのだが、球団はシーズン中から鶴岡一人元南海監督の招へいへの動きを隠さず、なんと秋季キャンプでは後藤監督の同行を禁止してしまった。
 要は「鶴岡さん、席は空けてます」ということだ。
 その鶴岡が監督を断り、ならば後藤監督続投かと言われたが、この球団はそう簡単ではない。後藤監督はキャンプにも呼ばれず、完全にほったらかし。
 それでも、
「まあ、ワシも人間である以上、不満もあるが、それを言うべきではない。はっきり言えることはワシはタイガースが好きであり、タイガースを人一倍愛しているということや」
 健気な……。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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