埼玉西武ライオンズ
チーム一の得点圏打率を誇る森友哉は12球団でもNo.1の.411をマークしている。2位の
広島・
會澤翼に6分の差をつけ、唯一の4割台。特に満塁機では14打数8安打、2本塁打、30打点、打率.571と驚異の勝負強さを見せている。負担の大きい捕手をこなしながら、巧みなバットコントロールで首位打者を獲得。出塁率.413、長打率.547でOPSもリーグトップの.959を数える。「とにかくつなぐことを常に考えて打席に入っている」と本人は言うが、その意識を貫いたことがチャンスでの好結果をもたらした。
福岡ソフトバンクホークス
シーズン打率.259には物足りなさを感じるが、得点圏では持ち前の勝負強さを発揮した。チームの規定打席到達者の中では唯一となる得点圏打率3割超え(.309)をマークしたA.デスパイネが、常に口にするのが「チームの勝利のため」という言葉だ。チーム思い、仲間思いだからこそ、チャンスではスイングにも力が入る。7月3日の
楽天戦(ヤフオクドーム)では自身2年ぶりとなる満塁ホームランを放ち、
和田毅に675日ぶりの本拠地勝利をプレゼントした。現時点で来季の契約には至っていないものの、残留が濃厚。2020年も豪快なスイングでチームを勝利に導く。
東北楽天ゴールデンイーグルス
開幕から「つなぎの四番」を務め、途中から二番に回るなど、打線のキーマンとして
平石洋介監督の期待に応えたのが島内宏明だ。意地を見せたのが6月1日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)。4対3と1点差に迫られた直後の7回二死一、二塁の場面で、前を打つ
茂木栄五郎がストレートの四球で満塁に。続く島内は追い込まれながらも変化球を右前に運び、これが決勝2点適時打となった。また、8月31日の
日本ハム戦(楽天生命パーク)では5回に球団の月間最多安打記録を更新する37本目の安打を放ち、7回には38本目。さまざまな役割でチームに貢献した背番号35は、オフの契約更改で年俸1億円の大台に到達。「もっと本塁打を打ちたい」とさらなる貢献を誓った。
千葉ロッテマリーンズ
プロ10年目で初の規定打席に到達してリーグ3位の打率.315をマーク。ロッテ打線の斬り込み役としてついに持てるポテンシャルをフルに発揮した荻野貴司は、得点圏打率でもリーグ3位の.347を記録した。チャンスメークから仕上げ役までまさに獅子奮迅の活躍だったが、一番打者という特性上、得点圏での打席自体が115と決して多いわけではなく、打点もキャリアハイの数字とはいえ46。チームとしては来季に向け、背番号0の勝負強さに頼るのではなく、荻野の作った好機をいかに得点に結びつけるかに注力したほうがいいだろう。
北海道日本ハムファイターズ
リードオフマンとしてだけでなく、ポイントゲッターとしても存在感を発揮したのが西川遥輝だ。得点圏打率は
近藤健介、
中田翔、
大田泰示らを大きく上回る.337。「いつもチャンスで回ってこいと思っています」とその勝負強さを買われ、シーズン終盤には三番を任されることも。
栗山英樹監督も「代えのきかない存在」と絶大な信頼を寄せる背番号7。2020年からは新キャプテンにも指名され、名実ともにチームの中心としてナインをけん引する。天才的な打撃と自慢の足技、さらには広大な守備範囲を誇る守備力で西川が4年ぶり覇権奪回の使者となる。
オリックス・バファローズ
チーム“打撃三冠”の吉田正尚が得点圏打率も.301でトップ。開幕直後は不振に陥るなど、前半戦の得点圏打率.271に本人も「そこを、もっと上げていかないと」と口にし「ポイントゲッターを任されているからには」と得点機での数字を意識していた。すると、左方向へ軽打するなど“打点優先”の打撃で、後半戦は同打率.362と本来の姿に。ただ当然、満足はしない。「もっともっと打てるように」。そもそもチームの規定打席到達者は
福田周平と2人だけで、300打席以上でのチームトップの得点圏打率は
ロメロの.364。そのロメロは今季限りで退団が決定的とあって、吉田正には、さらに“勝負強さ”に磨きをかけることが求められる。
写真=BBM