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川口和久WEBコラム

巨人連覇へのアキレス腱は先発投手陣。切れてしまわないか心配だ/川口和久WEBコラム

 

このままで大丈夫なの?


今季8勝の桜井だが、2年連続で結果を出すのは簡単ではない



 アキレス腱は、体の中で一番強い腱だという。ということは、もっとも重労働をしている腱でもあるが、強い割に意外と簡単に切れる。
 ギリシャ神話の最強戦士アキレスの唯一の弱点と言われたことから名前がつき、「強者の弱点」みたいな意味で使われることが多い。
 なぜこんな話から始めたかというと、先日、福井の東尋坊近くで野球教室をしたのだが、野手担当の川相昌弘がアキレス腱断裂で急きょ欠席となった。
 もう引退しているし、激しい運動はしてないだろうになぜとも思ったが、古傷があったらしい。俺がカープ時代、二軍コーチの人が歩いていただけなのに切れて驚いたこともある。

 そういえば、巨人野上亮磨が、フェニックス・リーグで左足のアキレス腱を切ったらしい。ステップ足か……困ったもんだね。
 今となっては野上がケガをしたから、というわけでもないが、来季の巨人のアキレス腱は間違いなく、投手陣、それも先発だ。

 15勝の山口俊が抜け、菅野智之は正直言ってシーズンが始まってみないと分からない。
 となると、次に誰がいるか……。

 今季8勝を挙げた桜井俊貴が来年同じような活躍ができる保証はない。意地の悪い言い方ではなく、相手に研究されることもあり、プロの世界で2年連続結果を出すのは並大抵ではない。
 逆にいえば、桜井の真価を問われる年とも言えるけど、その選手に先発の二番手、三番手を期待するわけにはいかない。
 あと2ケタ勝利を挙げる可能性があるのは、せいぜいメルセデスくらいか。

 俺がコーチ時代、思ったのは、開幕前は投手陣が「あまるかな」と思うくらいいても、故障者や調子を落とす選手は必ずいて、最後はいつも「ちょうどよく」か「足りなくなった」。
 それが今回は「この選手が何勝したら」とか「ケガなく1年できたら」でしょ。

 桜井以外の若手の先発候補と言っても、どれもインパクトに欠ける。というか、どれもこじんまりまとまり、2ケタ勝てる匂いがしない。
 ドラフト戦略、育成両方かもしれないが、巨人は反省しなきゃいけない部分は多いと思う。

 外国人では韓国球界17勝を挙げたサンチェスが入る。韓国でやったということはセットや癖はそこそこ克服しているはずだし、即戦力とは思うが、これで簡単に15勝の山口の穴がうまるとは思えない。
 
 原辰徳監督のことだから何か考えはあると思う。打線は何の問題もないし、来年は我慢の1年と覚悟し、伸び悩んでいる若手にチャンスを与えるつもりなのかもしれない。
 でも、正直、先ほども書いたように、今の巨人の若手はまだまだ物足りないし、チャンスをもらったとしても1試合投げ切る力があるとは思えない。
 間違いなく、今季以上にブルペン陣に負担がかかり、ロングができる田口麗斗高木京介がフル回転し、ヒーヒー言っている姿が目に浮かぶ。リリーフ陣だって万全じゃないからね。

 いまの先発陣はとてもアキレス腱などという格好のいい弱点じゃない。もう時期的には遅いかもしれないが、最重要補強ポイントだと思うし、若手投手の伸び悩みも、かなり深刻だ。

 どうするのかな、原さんは。冷やかすつもりで書いていたが、本気で心配になってきた。
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