週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

村上宗隆、高橋礼はどうなるか……2年目のジンクスを打ち払った選手たち

 

 セ・リーグの新人王はヤクルト村上宗隆、パ・リーグはソフトバンク高橋礼が受賞した。村上、高橋はともにプロ入り2年目での受賞だったが、素晴らしい活躍を見せた。また、惜しくも受賞を逃したが、阪神近本光司も1年目ながら素晴らしい成績を残した。気になるのが、プロ1年目に活躍した選手は2年目に活躍できないという、いわゆる「2年目のジンクス」だ。では、プロ1年目に活躍した選手の中で、この「2年目のジンクス」を打ち払った強者はいるのだろうか?

重くのしかかる2年目のジンクス


 2000年以降に「プロ1年目で新人王を獲得した選手」の中で、翌年に1年目と変わらない、または1年目以上の成績を残した選手を調べ、まとめてみた。
※( )内は当時の所属チーム

ソフトバンク・摂津正


●攝津正(ソフトバンク)

・1年目成績
試合:70
勝利:5
敗北:2
セーブ:0
ホールド:34
ホールドP:39
奪三振:102
失点:13
防御率:1.47

・2年目成績
試合:71
勝利:4
敗北:3
セーブ:1
ホールド:38
ホールドP:42
奪三振:89
失点:23
防御率:2.30

 入団1年目の2009年に中継ぎとして年間を通して起用され、新人王を獲得。2年目となる翌2010年も、チームの「勝利の方程式」に欠かせない一員として、前年を上回る71試合に出場。38ホールド、42ホールドポイントを記録し、2年目のジンクスをものともしない活躍を見せた。

巨人長野久義(右。左は原辰徳監督)


●長野久義(巨人)

・1年目成績
試合:128
打数:430
安打:124
本塁打:19
打点:52
盗塁:12
打率:.288

・2年目成績
試合:140
打数:519
安打:164
本塁打:17
打点:69
盗塁:19
打率:.316

 2度の指名拒否を経て、2009年ドラフトで念願の巨人に入団した長野。1年目はシーズン中盤に調子を落とすも順調に出場を重ね、終わってみれば128試合に出場して打率.288、19本塁打を記録。新人王を受賞した。翌年は140試合に出場して打率.316で首位打者のタイトルを獲得。むしろ2年目に大きな飛躍を遂げた。

西武牧田和久(後列右)


●牧田和久(西武)

・1年目成績
試合:55
勝利:5
敗北:7
セーブ:22
ホールド:1
ホールドP:4
奪三振:86
失点:39
防御率:2.61

・2年目成績
試合:27
勝利:13
敗北:9
セーブ:0
ホールド:0
ホールドP:0
奪三振:108
失点:55
防御率:2.43

 牧田は入団1年目の2011年序盤は先発での起用が中心だった。しかし、中継ぎの駒不足からシーズン半ばに抑えに配置変換。これが功を奏したのか、55試合に登板して22セーブを記録し、新人王に輝いた。翌年は抑えから先発に戻り、チームトップとなる13勝を挙げた。抑えで活躍した翌年に先発でも好投した珍しい例だ。


●益田直也(ロッテ)

・1年目成績
試合:72
勝利:2
敗北:2
セーブ:1
ホールド:41
ホールドP:43
奪三振:57
失点:25
防御率:1.67

・2年目成績
試合:68
勝利:2
敗北:6
セーブ:33
ホールド:9
ホールドP:11
奪三振:66
失点:24
防御率:2.76

 2012年に新人ながら開幕一軍を勝ち取った益田は、開幕カードから中継ぎで起用され続け、最終的に新人最多ホールド記録を更新する41ホールド(従来の記録は摂津の34ホールド)を達成。翌年は抑えを任され、球団記録となる月間10セーブを挙げるなど活躍。結局、リーグ最多となる33セーブを挙げてセーブ王に輝いた。


●則本昂大(楽天)

・1年目成績
試合:27
勝利:15
敗北:8
セーブ:0
ホールド:0
ホールドP:1
奪三振:134
失点:65
防御率:3.34

・2年目成績
試合:30
勝利:14
敗北:10
セーブ:0
ホールド:0
ホールドP:0
奪三振:204
失点:73
防御率:3.02

 2013年にプロ1年目ながら15勝を挙げて新人王に輝いた則本。翌2014年は中継ぎに配置転換される時期もあったが、終わってみれば14勝を挙げ、球団初の新人から2年連続での2ケタ勝利を達成した。奪三振数は1年目を大きく上回るリーグ最多の204奪三振で、タイトルも獲得している。


●有原航平(日本ハム)

・1年目成績
試合:18
勝利:8
敗北:6
セーブ:0
ホールド:0
ホールドP:0
奪三振:81
失点:60
防御率:4.79

・2年目成績
試合:22
勝利:11
敗北:9
セーブ:0
ホールド:0
ホールドP:0
奪三振:103
失点:52
防御率:2.94

 2015年にドラフト1位で日本ハムに入団した有原は、1年目から先発で起用され、8勝6敗の成績で新人王を受賞。翌2016年も引き続き先発を任され、最終的に前年を上回る11勝を記録した。奪三振数や失点、防御率も前年よりも大きく向上、2年目のジンクスをはねのけた。

西武・源田壮亮


●源田壮亮(西武)

・1年目成績
試合:143
打数:575
安打:155
本塁打:3
打点:57
盗塁:37
打率:.270

・2年目成績
試合:143
打数:594
安打:165
本塁打:4
打点:57
盗塁:34
打率:.278

 源田はプロ1年目の2017年に正遊撃手として全試合に出場。守備力だけでなく155安打、37盗塁とバッティングや足でもチームに貢献し、新人王に選出された。翌年も再び全試合に出場。新人が入団から2年連続でフルイニング出場は史上初の記録だった。成績も前年より向上し、2年目のジンクスを吹き飛ばす活躍を見せた。

 2000年以降に「プロ1年目で新人王を獲得した選手」の中では、こうした選手が2年目のジンクスを吹き飛ばす活躍を見せた。しかし、それ以外の多くの新人王受賞者は、1年目の活躍を超えることはできていない。例えば、1年目に11勝を挙げて新人王になった田中将大も、翌年は150奪三振を記録するが9勝にとどまり、期待されたような活躍はできなかった。

 2019年シーズン、プロ1年目ながら活躍して新人王受賞に値する成績を残した阪神の近本光司らは果たして2年目のジンクスを打ち破ることができるのか、今から注目したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング