2年ぶりの日本球界復帰に楽天を選んだ牧田
12月11日、楽天生命パーク宮城で
牧田和久の楽天入団会見が行われた。
西武時代にはともにプレーし、公私にわたって親しい仲だという
石井一久GMからの熱いアプローチが実り、入団を決意したという。「キャンプが始まってみないと分からないが、ブルペンをやってもらえれば」と石井GMはリリーフでの起用を想定。若手の台頭もあり安定したリリーフ投手陣に厚みが生まれそうだ。
牧田は2011年に日本通運からドラフト2位で西武に入団。ルーキーイヤーに55試合に登板し22セーブを挙げ新人王を獲得している。その後も先発、中継ぎ、抑えとあらゆる場面でマウンドに上がるなど経験を積み、13、17年には日本代表としてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも出場した。17年オフにはポスティングシステムを利用しメジャーへ挑戦。18年にはパドレスで27試合に登板したが、19年はメジャー登板なしに終わると、日本球界復帰を決断した。
今季はリーグ2位の防御率を誇った楽天。特にリリーフ陣の安定感は光っていた。
則本昂大、
岸孝之を欠く中、前半戦を勝率5割で折り返したのはリリーフ陣の奮闘があったからこそ。だが、夏場は少し苦しんだ。先発の
辛島航がブルペンに回るなどの応急処置でしのいだが、規定投球回到達投手が
美馬学(FAにより
ロッテに移籍)1人だった状況を考えてもブルペンは手厚いほうがいい。
さらに今季のパ・リーグで規定投球回に達したのは6人と、2リーグ制後最少だった。投手分業制が進む近年は中継ぎ陣への負担が増えるだけに、経験豊富な牧田は重宝されそうだ。石井GMは「どんなコンディションでもしっかりとしたパフォーマンスを出してくれますし、(打者の)左右に関係なくアンダースローのパワーボールを投げられるピッチャー。ゴロも打たせられるので、ピンチの状況でも切り抜ける技術は持っている選手だと思います」とその能力を高く評価。先発経験もあるだけに、回またぎもいとわないだろう。
続けて会見を見ていた石井GMは「シャイな投手だった印象がありましたが、アメリカでいろいろと経験して発言の引き出しも増えたと感じました。投げ方が違ってもマウンドに上がったときの気持ちだったり、ピンチでの気持ちだったりということを周りのピッチャーに共有してくれるかなと思います」と牧田の成長にも目を細めた。
岸と同じ35歳となり「おじさんになってきた」と笑った牧田だが「経験を生かして引っ張っていけたら」と力強く語った。厚みを増したブルペンが、7年ぶりの頂点を狙う楽天の大きな武器となりそうだ。
文=阿部ちはる 写真=井沢雄一郎