週刊ベースボールONLINE

川口和久WEBコラム

1億円プレーヤーになった巨人・小林誠司の成長とリクエスト/川口和久WEBコラム

 

ジワジワ成長するタイプ


いいキャッチャーになったと思うよ


 巨人小林誠司の年俸が1億円になった。

 以前、西武の捕手・森友哉の1億2000万円アップは打撃で1億円、2000万は守備かな、という話を書いたが、小林の4000万円アップ分は全部守備だろう。悪口じゃないよ、彼は肩だけでも給料がもらえる男だからね。
 あと、捕手の評価はチームが勝ってこそ。優勝のご祝儀もあっただろうし、原辰徳監督の期待に応えたからこその大幅アップだと思う。

 ただ、満足感はないだろうな。
 過去2年でやっと正捕手をつかみかけたのか、今季は炭谷銀仁朗の加入、打撃がいい大城卓三の成長もあり、出場が100試合を割った。ライバルをつくり、チーム内競争をうながすのは、原野球の根幹だけど、悔しさはあったと思う。

 彼は2014年、俺がコーチをしているときに日本生命から入ってきた。決して要領のいいタイプではなく、サインを覚えるのに時間がかかり、試合中、サインが分からなくなり、確認していたときもあった。
 リードも最初は苦しんだ。順調に試合が流れているときのリードは問題ないんだけど、悪いときのリードが外一辺倒になりやすく、それを読まれて打たれてしまうことがあった。
 当時、俺は投手コーチだったんで、バッテリーコーチの秦真司と小林のリードでケンカをしたことが何度もあった。
 最初に書いたように捕手の評価は勝ってこそ。しかも、巨人というのは注目されているから気の毒なくらいマスコミにたたかれていたこともあった。 

 彼は見たとおり、爽やかで明るい。だけど、一度考え込むと、気難しいというのか、集中し過ぎて周りが見えなくなるときがあった。
 マジメすぎるのかな、と思っていた。カープの先輩・達川光男さんのようにとは言わないけど、捕手はピッチャーを見て、バッターを見て、ほかにもベンチや審判も見なきゃならない。時にはいろいろな顔を使い分けるしたたかさも必要だ。

 あれから、ずいぶん成長したと思う。選手というのは爆発的に力を伸ばすタイプと少しずつ力をつけていくタイプがいるが、誠司は後者だ。打撃はさておいてだが、いいキャッチャーになったと思う。
 よかったのは菅野智之との同級生バッテリー。気心が知れてるし、菅野は球に力があって制球力がいい。彼と組むことで、勉強できたし、自信もついたと思う。
 
 彼へのリクエストは1つだけ。
 そろそろ結婚したら。家族が増えると楽しいぞ。
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング