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2019年夏の栄光を後世に――星稜高に奥川恭伸らの記念碑が完成。刺激を受けた後輩が新たな足跡を刻む

 

星稜高グラウンドのネット裏一塁方向に、今夏の甲子園準優勝の記念碑(右)が完成した。左には1995年夏の準優勝の記念碑がある


 グラウンドに「歴史」が刻み込まれた。

 今夏の甲子園で24年ぶりの準優勝に輝いた星稜高(石川)。エース・奥川恭伸ヤクルト1位)の快投、強肩捕手・山瀬慎之助巨人5位)との絶妙なコンビを軸としたチーム力の高さは、記憶に新しいところである。

 父母会の発案により、2019年夏の栄光を後世に残していこうと「記念碑」が寄贈され、12月14日に除幕式が行われた。すぐ左横には1995年夏の準優勝の石碑が並んでおり、ネット裏はより一層、華やかになった。

 表面の中央には、元監督である山下智茂名誉監督の指導モットーであった『耐えて勝つ』が赤文字で目立つ。裏面には2019年のチームスローガンであった『一味同心』のほか『星稜魂』と『必笑』。また、3年生から1年生まで、五十音順に全77人の部員名が一文字、一文字、丹念に彫られている。

 山下名誉監督の長男・山下智将部長は言う。

「夏の甲子園から戻って、父母会のほうから話があり、ぜひ、ということで進めました。1995年と土台、全体の大きさも一緒にしようということで、OBの石屋さんには、さまざまな面で協力していただきました」

裏面にはエース・奥川恭伸(ヤクルト1位)の名前が刻まれている


 星稜高は新チームでも快進撃が続き、今秋の北信越大会では4季連続優勝。3年連続でのセンバツ出場を当確の立場としている(選抜選考委員会は1月24日)。18年春からの5季連続出場が決まれば、星稜高にとっては2度目の快挙(1981年春〜83年春)だ。

 1年夏から今夏まで3季連続で甲子園の土を踏んでいる主将・内山壮真(2年)は言う。

「星稜の歴史で、センバツの最高成績は3度(1992、95、2018年)の8強です。先輩方の実績を超えて、ベスト4が一つの目標です。個人的には高校に入学してから5季連続甲子園出場と、星稜としては過去にない全国優勝を目指してきたので、自分たちの代で達成したいと思います」

奥川とバッテリーを組んだ主将・山瀬慎之助(巨人5位)の名前も、堂々と刻まれている


 内山は新チーム以降、遊撃手から中学時代にも守った捕手へコンバートされた。ショートのポジションから山瀬の捕球、送球、配球、そしてキャプテンシーまで多くを見て吸収してきた。奥川からも、どんな場面でも上を向いてプレーすることを忘れない「必笑」を学んだ。先輩2人に続き、高校卒業後のプロ入りを目指す内山。お世話になった恩返しは、結果で示していくしかない。

 現役部員にとっても、励みとなった記念碑の完成。一つの「形」を残した先輩から刺激を受け、後輩たちも新たな足跡を刻んでいく。

文=岡本朋祐 写真=宮原和也
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