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筒香嘉智の次は誰だ? DeNAの和製大砲史

 

 2019年シーズンオフに、DeNAの主砲だった筒香嘉智がポスティングシステムを利用してのメジャーリーグ挑戦を表明。12月13日にはタンパベイ・レイズと契約したことが発表された。問題は筒香の抜けた穴を埋める新たな和製大砲が出てくるかどうかだが、そもそも筒香も村田修一の次の和製大砲として頭角を現した選手。では、村田の前にDeNAを支えた和製大砲は誰だったのかご存じだろうか? 今回は「DeNAの和製大砲の歴史」(前身球団時代を含む)を紹介する。

黎明期を支えたスラッガー


 DeNAの前身である大洋ホエールズは、大洋漁業(現・マルハニチロ)の実業団チームが、1950年のリーグ再編時に加入したことで生まれたチームだ。元実業団チームのため当時は戦力が整っておらず、巨人などすでに存在したプロチームから選手を譲り受けることになったのだが、その中に大陽ロビンスから加入した藤井勇がいた。

 藤井は戦前のリーグからプレーしているベテランで、チームもその経験と実績を買って四番に起用。藤井はこのシーズンを34本塁打、122打点と自身最高の成績を残して起用に応えた。翌1951年は15本塁打、1952年も同じく14本塁打を放ち、リーグ参戦間もないチームを牽引した。生え抜き選手ではないが、チームの和製大砲の歴史を語る上で欠かせない存在だ。

 藤井の次に大洋打線を支えた和製大砲が、1959年に入団した桑田武だ。同年、新人ながら31本塁打で最多本塁打と新人王のタイトルを獲得し、翌1960年はリーグ優勝に貢献。大洋に在籍した10年間で223本塁打を放った生え抜きの和製大砲だった。

チーム史に輝くレジェンド


大洋・田代富雄


 1962年に入団した松原誠は、退団する1980年まで長きにわたり大洋打線を支えたレジェンドの一人だ。1968年に28本塁打を放つと、1970年には30本の大台に到達。以降、1977年まで8年連続で20本塁打以上を記録。打撃タイトルは獲得できなかったが、松原の通算330本塁打は今も更新されていないチーム最多記録だ。

 これに次ぐ通算本塁打数を記録したのが、現在はDeNAのチーフ打撃コーチを務める田代富雄。1973年のドラフト3位で大洋に入団した田代は、プロ4年目の1976年に一軍に定着すると、翌1977年は自己最多の35本塁打を放つ。以降も強力な長打力を武器に打線を牽引し、1991年に大洋・横浜一筋で引退した。ちなみに、田代はプロ最終打席にまさかの満塁本塁打を放っており、これは史上唯一の記録となっている。

待望の生え抜きスラッガーの登場


横浜・村田修一


 ホエールズからベイスターズに球団名が変わった1990年代は、グレン・ブラッグスロバート・ローズといった外国人選手や、巨人から移籍してきた駒田徳広が長距離砲としてチームを支えたが、長らく生え抜きの大砲は現れなかった。

 2003年、ようやく期待の和製スラッガーがチームに入団する。日大で活躍していた村田修一だ。村田はプロ1年目から一軍に定着して25本塁打を記録。以降もコンスタントに本塁打を放ち、2007年には全試合に四番で出場。36本塁打を記録して初の最多本塁打のタイトルを獲得した。

 翌2008年は、前年を10本も上回る46本塁打で再び最多本塁打のタイトルを獲得。ベストナインにも選ばれ、まさにチームの象徴として君臨した。村田は2011年オフに巨人に移籍するが、それまでの在籍9年間で放った本塁打は251本。これはチーム歴代3位の通算本塁打数だ。

 村田が不動の四番として君臨した2000年代は、他にも多村仁志吉村裕基という2人の長距離砲が活躍した。1995年のドラフト4位で入団した多村は、プロ9年目の2003年に18本塁打を記録し、翌2004年は球団史上初の40本塁打を達成した。

 村田と同じく2003年にドラフト5巡目で入団した吉村は、2006年に開幕一軍をつかみ取ると、その年は26本塁打を記録。翌2007年は24本、2008年は34本とコンスタントな活躍を見せた。当時の四番・村田、五番・吉村のコンビはリーグ屈指の破壊力(しかも三番は内川聖一)だった。

メジャーに挑む和製大砲


DeNA・筒香嘉智


 村田は2011年オフにチームを去るが、その後頭角を現したのが筒香嘉智だ。二軍時代の2010年、2011年は2年連続で最多本塁打を記録。2011年は一軍でも40試合出場し、8本塁打を放つと、2012年は初の2ケタ本塁打を達成した。2013年は不調に陥るが、2014年は復調して22本塁打を記録。2016年には44本で最多本塁打のタイトルに輝き、打点王も獲得した。

 以降も毎年20本以上の本塁打を放ってチームに貢献した筒香は、2020年にはメジャーに活躍の場を移す。その穴を埋める新たな和製大砲の登場が期待されるところだが、すでに活躍している宮崎敏郎以外では、2020年でプロ4年目を迎える佐野恵太、同じく2年目を迎える伊藤裕季也に注目したい。

 左の長距離砲としての活躍が期待される佐野は、2019年は89試合に出場して打率.295、5本塁打を記録。チームを支える大砲としてはもうワンパンチ足りないが、2020年シーズンは2ケタ本塁打を期待したい。伊藤はシーズン後半に出場機会が与えられ、21試合の出場ながら4本塁打と将来性を感じさせる活躍を見せた。レギュラーをつかんでコンスタントに出場機会が増えれば、本塁打も増えていくだろう。

 生え抜きを中心にDeNAの和製大砲の歴史を紹介したが、リーグ優勝、日本一を目指すためにも筒香に代わる和製大砲は必要だ。もしかすると、2019年のドラフトで加入した東妻純平蝦名達夫など、思いがけない選手の台頭があるかもしれない。果たしてDeNAの次世代を担う和製大砲は誰なのか? まずは春キャンプで彼らの動向に注目してほしい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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