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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

DeNA・伊勢大夢 成功のカギは「左打者へのアウトコース」

 

新人合同自主トレで体を動かす伊勢


 入寮2日目にして謝罪会見を開くという後味の悪いスタートとなってしまった。DeNAドラフト3位入団の伊勢大夢は、1月4日に帰省先で起きた交通事故について「自分の運転によりケガをされた方々、関係者の方々に本当に申し訳なく思っている」と謝罪、深々と頭を下げた。

 胸、手首の打撲、むち打ちと診断されていたが、8日から始まった新人合同自主トレには参加して、他の新人選手と一緒にランニングで汗を流した。念のためキャッチボールやノックが始まると別メニューとなったものの、今は焦らず、万全なコンディションでキャンプインすることに専念したいところだ。

 九州学院高では3年春夏と甲子園のマウンドを経験。明大では3年時からリーグ戦で登板機会を増やし、広島・ドラフト1位指名の森下暢仁らとチームをけん引。サイド気味のスリークオーターから4年時の大学選手権では自己最速151キロをマークするなど力強いボールを投げ込み、スライダーを交えた内外角への投げ分けで凡打の山を築いた。

 フィニッシュでしっかりと右腕を振り切れるのが長所であり、大学4年秋は主に先発を任されていたが、変則的なフォームもあいまってプロではリリーフでの起用が濃厚だ。実際に4年春のリーグ戦では全試合リリーフで登板し、チームを支えた。

 サイドに近い腕の位置から繰り出される150キロ近い直球は、プロの舞台でも十分に魅力的だ。右打者の外に決まるスライダー、カットボールもある程度は通用するだろう。一方で、課題は「対左打者」にある。

 明大の恩師である善波達也元監督は、「左打者の外に投げる変化球が欲しい」とプロに進む教え子について語る。持ち球にシンカーもあるが、チェンジアップなど抜いたボールを習得することで左打者から空振りを奪えるかが、伊勢がプロで生き残るカギだと指摘する。そのうえで「(広島1位入団の)森下がプロでやることに心配していません。伊勢も技術を磨いて、1年目から戦力となっていってほしい」とエールを送った。

 昨年は先発陣が早いイニングで降板する場面が多く、DeNAのリリーフ陣には大きな負担がかかった。ロングイニングもこなせる伊勢が一軍の戦力として計算できれば、ブルペンの負担は軽減できるはずだ。

文=滝川和臣 写真=大賀章好
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