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ロッテ・佐々木朗希がヤクルト・奥川恭伸に奪われた“自信”

 

「201」号室のボードに名札を掛けた佐々木朗


“令和の怪物”がプロとしての新たな生活をスタートさせた。1月8日、ロッテの新人7選手が入寮。大トリでロッテ浦和寮に姿を現したのがドラフト1位の18歳、最速163キロ右腕の佐々木朗希だった。

 自身初となる寮生活に対して一抹の不安を口にしながらも、「いつでも野球ができる。たくさん練習したい」と声を弾ませた佐々木朗。奇しくもライバルでありヤクルトにドラフト1位指名された同級生の奥川恭伸が入寮している戸田寮は、車で15分ほどの距離。タイミングが合えば気軽に食事にも行けるようになったが、「(誘って)断られなければいいですね」と周囲を笑わせた。

 5日に一足早く入寮していた奥川も常々、佐々木朗を意識する発言を繰り返してきたが、佐々木朗の奥川に対する意識はそれ以上のものがある。昨年の新入団会見では「この学年で一番いいピッチャー(である奥川)に勝てるように」とまで口にしていた。そうまで奥川を意識する理由は数多くあるのだろうが、昨夏のU18代表合宿にもその一端があった。

「練習で奥川が投げているときに打席に立ったんです。自信をなくしました」

 それ以前から奥川へのリスペクトとも受け取れるような発言をしていた佐々木朗だが、実際に打席で直に体感したライバルが投じるボールは、想像を超えるものだったのだろう。今でも“自信”は「戻っていません」。

 開幕先発ローテ入りも期待される奥川に対し、佐々木朗はまずフィジカルアップを中心としながら慎重に育成していく方針を球団が示している。シーズンが開幕しても、互いに「投げ合って勝ちたい」と声をそろえる初対戦の機会は、セ・パの高い壁を差し引いても少し先の話になるかもしれない。

「1年目は体づくりがメーンになると思いますが、その中でも早くチームに貢献できるように頑張りたい」と、足元を見据えながらも胸に秘めた強い決意が言葉の端々からあふれ出る佐々木朗。焦らず、それでいて最短距離で。ライバルに投げ勝ち、奪われた“自信”を取り戻すためにも、まずは一軍の舞台を目指して励んでいく。

文=杉浦多夢 写真=BBM
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