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ベースボールゼミナール

プロの選手はスパイクをどのような基準で選んでいる?/元中日・井端弘和に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は走塁編。回答者は現役時代、たびたび好走塁を披露した元中日ほかの井端弘和氏だ。

Q.グラブやバットを選ぶ基準について、雑誌や新聞、テレビなどで特集されるのでよく目にしますが、プロの選手はスパイクをどのような基準で選んでいるのでしょうか。井端さんの現役時代について、教えてください。(山口県・54歳)


中日時代の井端弘和氏


 これまでさまざまなところでグラブ(何度お話したか分からないほどです)やバットについて、こだわりや気を付けている点などをお話してきましたが、実は、シューズ(ここではスパイクですね)は一番大切なギアだと考えています。バッティングにしても、守備にしても、走塁にしても、足を使ってめいっぱい動くわけですし、仮にほんのちょっとでも違和感(や、わずかな痛みなど)があったとしたら、プレーできないのではないでしょうか。

 これはバットやグラブとはわけが違いますし、ちょっとした違和感があるのならば、そのスパイクは履いてはいけないと思います。それくらい、スパイクやシューズというのは大事。私事ですが現役時代、シューズへのこだわりが強いあまり、何度もメーカーの担当者の方とやり取りをし、最終的に決別、別のメーカーのスパイクを履くことになったこともありました。

 実際にスパイクを選ぶ上で、私がこだわったポイントも紹介しましょう。まずは前述したように、足を入れて動かしたときに違和感を一切感じないこと。次に、ソールの厚みですね。最近のスパイクでは、樹脂でいわゆる上げ底のようになっているスパイク(これは科学技術の進歩でプレーヤーの足に負担がないように、との配慮の結果、生まれたものだと思います)が主流になりつつありますが、私は革底で厚底になっていないものが好きでした。人工芝でも、土のグラウンドでも同じです。軽さや丈夫さうんぬんよりも、底が薄いほうが、私の足に合っていてプレーがしやすかったという理由です。

 1998年のドラゴンズ入団から、2015年にジャイアンツで現役を引退するまでプロで18年プレーしてきましたが、この間、スパイクに限らず、野球ギアの性能は飛躍的にアップしました。多くの選手が新しい技術を取り入れたスパイクを選ぶ中で、私はそちらには行けませんでしたね。

 スパイクの歯にも気を付けていて、ナゴヤドームで守備の際はイボイボのゴム製の底のシューズを履いていましたが、東京ドームなどの人工芝では半ケンといって、土のグラウンドで使用する金具の歯を半分にしたものを履いていたので、計3種類を履き分けていたことになります。

●井端弘和(いばた・ひろかず)
1975年5月12日生まれ。神奈川県出身。堀越高から亜大を経て98年ドラフト5位で中日入団。14年に巨人へ移籍し、15年限りで現役引退。内野守備走塁コーチとなり、18年まで指導。侍ジャパンでも同職を務めている。現役生活18年の通算成績は1896試合出場、打率.281、56本塁打、410打点、149盗塁。

『週刊ベースボール』2020年1月20日号(1月8日発売)より

写真=BBM
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