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“背水の陣”日本ハム・斎藤佑樹の目指すべき「投手像」とは?

 

今季で早くも10年目を迎える斎藤


 昨年大晦日に31歳の一般女性との結婚を発表した斎藤佑樹は現在31歳。一昨年、昨年と2年連続未勝利に終わったが、まだまだ老け込むには早すぎる。20代は伸び悩んだが、30歳を過ぎてブレークした投手も少なくない。

 実は斎藤の身近に成功のモデルケースがいる。元DeNAで現在は社会人野球・JFE東日本でプレーする須田幸太だ。須田と斎藤は同じ早大出身。須田が大学3年時に斎藤は1年で一緒にプレーしている。須田は社会人野球を経て、斎藤は大卒でプロ入りしたが同期入団でドラフト1位と共通点が多い。

 須田は即戦力右腕として先発要員で期待されたが、なかなか結果を残せなかった。20代の通算成績は71試合登板で11勝14敗、防御率4.93。ところが、救援に専念した2016年にブレークした。自身最多の62試合に登板し、5勝3敗23ホールドをマーク。勝利の方程式として不可欠な存在になり、チームの史上初のクライマックスシリーズ(CS)進出に大きく貢献した。18年限りで戦力外通告を受けて退団したため、光り輝いたのは16年シーズンだけだったが、その活躍ぶりはDeNAファンの記憶に鮮明に残っており、現在も根強い人気を誇っている。

 須田は決して身体能力が飛び抜けていたわけではない。身長176センチと投手として恵まれた体格ではなく、直球の球速は140キロ台前半。スライダー、カーブ、カットボール、シンカーも格段のキレを誇っていたわけではない。ただ、制球力に加えてピンチでも動じず内角を果敢に突く強心臓ぶりで自身の居場所を確立した。

2016年、須田のピッチング


 斎藤の体格、投球スタイルは須田と重なる。身長は同じ176センチで配球のコンビネーションと制球力を武器に打者を打ち取る。プロ9年間で通算88試合に登板して15勝26敗、防御率4.34と思うような結果を残せていないが、一軍で生き残るために活路を見出さなければいけない。須田は「何でも屋」として敗戦処理、ロングリリーフ、勝利の方程式、山崎康晃の代役で守護神を務めた。足が震えるような絶体絶命の場面でも強気の姿勢を貫いて抑え続けた。体が万全でないときもあっただろう。派手なガッツポーズには、「この役割を全うする」という強い気持ちが込められていた。

「ハンカチ王子」と形容されたクールな斎藤に闘志を前面に出す投球スタイルは似合わないかもしれない。だが、貪欲な姿勢と負けず嫌いな性格でどんな場面でも投げ続け、首脳陣の信頼を勝ち取った須田は良きお手本になるのではないだろうか。

写真=BBM
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