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2020センバツ

センバツ選考で毎年議論が活発になる「関東・東京」への3つの改善策

 

「センバツは投手力が大事」


選抜選考委員会後には、記者会見が行われる。そこで選考過程の「裏側」が見えてくる


 選抜選考委員会の一般選考枠の選考において、最も議論が活発に行われるのは「関東・東京」だ。出場枠は「6」。まずは関東4、東京1に割り当てられ、残りの1枠を関東5位と東京2位で比較検討という流れになっている。

 1月24日。今年は関東5位・花咲徳栄(埼玉)が東京2位・帝京を上回る判断となった。

 最終的な承認を得る場である「選考委員会総会」においては「投手を含めた総合力で花咲徳栄が上回る」と説明。一方、帝京については「関東一、日大三、創価を下して8年ぶりの決勝進出。しかし、決勝(対国士舘)では打線が2安打と沈黙(完封負け)。長打力はあるが、打線のつながりに欠けた」と話した。

 実際、どこに差があったのか。選考委員会後の記者会見で、選考委員は口を開いた。

「大きな実力差はありませんし、(お互いが)対戦すればどうなるか分からない。帝京は、久しぶりに良いチームを作ってきて、復活したな、と決勝も期待していたんです。ところが力を発揮できなかった。投手は継投でしたが、安定感がない。花咲徳栄の投手力のほうが安定感がある」と決め手について語った。

 昨年は関東大会準々決勝(対春日部共栄)で7回コールド敗退した関東5位・横浜(神奈川)が、東京2位・東海大菅生(東京)を抑えて選出された。ところが、横浜はセンバツ本大会で初戦敗退(対明豊)。選考委員は1年前をこう振り返る。

「センバツに関しては投手力が大事になってくる。及川(雅貴、現阪神)投手の一冬を越えての期待感があった。遅咲きだったのか……。(関東・東京の最後の1枠の議論は)これはずっと、つながってくる。総合力、投手力、攻撃力、守備力。苦しいんですが、我々の目として(選考が)一致するように考えている」

選考委員のジャッジがすべて


 言うまでもなく、春のセンバツは主催者が招待する大会であり、全国49地区の地方大会を勝ち上がってくる夏の選手権大会とは、趣旨が大きく異なる。センバツの「出場校選考基準」の(5)にもこう記載されている。

「本大会はあくまでも予選をもたないことを特色とする。従って秋の地区大会は一つの参考資料であって本大会の予選ではない」

 別の選考委員は補足する。

「データも大事ですが、見た目も、大事にもっていきたい。地域性(バランス)も選出する要素の一つですが、各地区の代表として甲子園で良い試合ができる可能性もあるチームを(地域性よりも)優先することもある」

 あくまで「基準」である。過去に選手、指導者などで豊富なキャリアを誇る選考委員の裁量に委ねられているのが現実。選考委員のジャッジがすべてなのだ。

 そこで、案がある。「関東・東京」をめぐり、毎年のように起こり得る事態を回避していくための改善策を3つ提示したい。

 まずは、春季関東大会のように、東京を関東の枠に組み入れる。同じ土俵での比較になれば、選考もしやすくなるだろう。もう一つは隔年で「関東5、東京1」「関東4、東京2」に振り分ける。しかし、関東地区としては反対意見が出るに違いない。双方の事情を十分に考慮するのであれば、北海道が「1」で固定されているように、東京も「1」にすれば問題は解決する気はするが……。「中国・四国」の出場5枠(ラスト1枠は中国3位と四国3位の比較)にも当てはまることだが、そろそろ、手を打っても良い時期なのかもしれない。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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