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コラスはどうなる? 契約お騒がせ外国人エピソード

 

 2020年1月3日、ソフトバンクに所属するオスカー・コラスが亡命を目的に失踪したと報じられた。MLBと契約するためだというが、ソフトバンクとの契約はまだ継続中。保留選手名簿に記載された選手が失踪するという異例の事態だが、今後どのような形で決着するのか注目される。さて、こうした外国人の契約に関するトラブルは少なくない。今回は、外国人の契約に関するお騒がせエピソードを紹介する。

MLBと契約するために来日を拒否



●ユリエスキ・グリエル、ルルデス・グリエルJr.

 2014年5月、キューバ代表で活躍し「キューバの至宝」と評されたユリエスキ・グリエルがDeNAに入団。シーズン途中での加入ながら62試合に出場し、打率.305、11本塁打と活躍したことで翌2015年もDeNAでプレーすることになった。

 2015年2月には、弟のルルデスもDeNAと契約し、兄弟での活躍が期待されたが、2人そろって「ケガの治療」を理由に来日を延期。その後もチームはキューバ政府を通して2人にコンタクトを図るも、明確な返答が得られなかったことから契約解除に至った。その後、ユリエスキは2016年にMLBのアストロズに入団。ルルデスもブルージェイズに加入した。

中日に入団するはずが直前で翻意


●ケビン・ミラー

 2003年、中日はMLBのマーリンズでプレーしていたケビン・ミラーを獲得したと発表。具体的な契約金や契約期間も報じられていたが、マーリンズが中日に移籍させるためにミラーとの契約を放棄したタイミングでレッドソックスが獲得を希望した。レッドソックスは中日に移籍金の肩代わりや代替選手を提示するも中日はこれを拒否した。

 このままミラーは中日に加入すると思われたが、ミラー自身がレッドソックスでのプレーを希望して来日を拒否。中日は契約が成立しているため支配下選手に登録するが、ミラー側がひたすらに来日を拒否したために仕方なく契約を解除。ミラーはレッドソックスと契約した。

自由契約になっていないのにMLBに移籍


アルフレッド・フィガロ

 今回のコラスと似たパターンなのが、2012年オフに起こったオリックスのフィガロを巡る騒動だ。2010年オフにオリックスに加入したフィガロは、2011年は先発で8勝。2012年は打線の援護に恵まれずに未勝利に終わったが、チームは前年の活躍を考慮して契約を継続した。

 しかし、2012年オフにドミニカに帰国したフィガロは、オリックスと契約中にもかかわらずMLBのブリュワーズとマイナー契約を結んでしまう。契約中の選手と他球団が勝手に契約してしまうことは、NPB、MLB関係なく認められていないため、当時大きな問題となった。結局、フィガロ側にはオリックスとの契約を続ける意思がないため、オリックスは契約を放棄。フィガロはブリュワーズに入団することとなった。

契約解除を盾にMLBと交渉開始


広島・チェコ


ロビンソン・チェコ

 1990年に広島がドミニカ共和国に設立したカープ・アカデミー出身のチェコは、広島で2年間プレーした後に台湾リーグを経て1995年に広島に復帰。この年はリーグ最多となる15勝を挙げる活躍を見せた。チームに欠かせない存在となったチェコだが、シーズン中とシーズンオフに契約を巡る騒動をたびたび起こした。

 まずはシーズン中だ。オールスターにも出場して順風満帆だったチェコは、いきなり「新しいボーナス契約」を結ぶよう要求。要求が通らない場合は先発しないと言い出した。この要求はチームが突っぱねたことで撤回されるが、今度はシーズン終了後にチェコの代理人だった団野村(ダン野村)氏が、十分な報酬が支払われてないと主張。契約解除を盾にMLBと交渉を開始した。結局、チェコは翌年も広島でプレーすることになったが、チームのエースを巡るまさかの騒動だった。

契約解除後に多額の経費請求



●ジョー・ペピトーン

 1973年にヤクルトが獲得したジョー・ペピトーンは、長らくお騒がせ外国人の代名詞でもあったトラブルメーカーだ。MLB時代からたびたびグラウンド外で騒動を起こしてきたペピトーンは、日本でもその性格は相変わらずで、自らの名前を冠したイベントデーだったにもかかわらず欠場。離婚裁判を理由に無断帰国したり、故障で離脱中に遊びまわったりとやりたい放題だった。

 これで成績が良ければまだ許せるが、シーズン終盤に再び無断で帰国したことで出場はわずか14試合にとどまり、箸にも棒にもかからない成績に終わった。契約2年目となった翌1974年になってもペピトーンは来日せず。それどころか、これまでにかかった荷物の空輸代やペットの輸送費をすべて球団に請求するという暴挙に出た。その後も、球団が設けた期限になっても来日しなかったことで、ついに契約を解除された。

 過去に起こった契約トラブルは、最終的に契約解除となるケースが多い。オリックスのフィガロのように、球団側に落ち度がない場合も、仕方なく契約解除に至るようだ。チームとしてもそんな選手を置いておくわけにはいかないため、今回のオスカー・コラスの場合もこのまま契約継続は難しいかもしれない。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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