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勝負の“投手2年目”に挑むオリックス・張奕

 

5月に支配下登録された昨季は、6試合に先発して2勝4敗。今季は2ケタ10勝を目指して腕を振る


 勝負の“投手2年目”へ懸ける思いは強い。

「先発ローテ定着は大前提。あとは自分にプレッシャーをかける意味でも10勝はしたい。10勝の高いカベを超えていきたい。そうすれば自信にもなる。10回、勝つために何が必要か、何をやるべきか。ずっと考えているんです」

 2016年秋の育成ドラフト1位で外野手として入団もバットが振るわず、2年目の18年はファームでの出場機会が減。そんな矢先に投手転向を打診された。ブルペンで試投すると、145キロをマーク。「心が燃え尽きていた」という男は、もらったチャンスに目の色を変えないわけがなかった。

「投げてみて『いける』とは思わなかったですけど、チャンスを与えてくれるのならば、そこで頑張りたいと強く思えました。絶対にこのチャンスをモノにしたい。その一心でした」

 ファームで結果を残し、昨年5月1日に支配下登録を勝ち取ると、8月にはプロ初勝利もマーク。だが当然、慢心はない。自信のある直球の「質を上げたい」と話す右腕だが、同時に今季は「長いイニングを投げる」ことも目標に掲げる。昨季は1試合の投球回は最長で6回で、5回二死から失点を喫して敗戦投手となることもあった。冒頭で掲げた目標「2ケタ勝つ」ためにも、投球回数を伸ばすことは欠かせない。

「長いイニングを投げるには、スタミナもそうですけど、体の使い方が大事だと思う。全部を全力でいくのは無理。長いイニングを投げるには、やっぱり制球力が大事。それを持っているからこそ、打者も振ってくる。そうすると、球数も減ってスタミナも削られない。その結果、長いイニングを投げられる。今年は、そういう投球をしていきたいんです」

 山岡泰輔山本由伸の先発2本柱を筆頭に、榊原翼、K-鈴木、荒西祐大田嶋大樹ら、20代が中心の先発陣。層は厚くなっているだけにキャンプ、オープン戦からアピール合戦が予想されるが、当然、負けるつもりはない。自らを奮い立たせるのは「悔しさ」だ。

「野手で成功できなかった悔しさは、今もある。その思いから『上に行きたい』『一軍で投げたい』と常に思っている。今年、活躍するためにも、今(オフシーズンに)しっかりと考えて自分と向き合って、覚悟と自覚を胸に今季に挑みたい」

 底を知った男は強い。野手での失敗を力に変え、決意の2年目へと進む。

写真=BBM
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